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もう少しアタマを使おうよ

 きょうは“小言幸兵衛”で。

 けさの渋谷公共放送サマのニュースで、かなりひどい字幕スーパーが出ていた。

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会・橋本聖子会長のインタビュー。最後の理事会が開催されるにあたって大会を総括してもらうもので、これ自体には大いに意味がある。

 ああ、それなのに。
 
問題のスーパーは、大会の“レガシー”についての質問への回答だ。

 橋本氏の口から出たのは「東京大会はレガシーを継承していく私は責任がある、あるんだ、という風に思っているんですね」。

 これを“フォロー”する字幕スーパーは「東京大会はレガシーを継承していく私は責任があるんだと思っているんです」になっていた。

 「私は」という主語をそのままど真ん中に置いたままにするセンスがひどい。喋った内容をただ文字に起こしただけ。なーんにも考えていない。

 「私は、東京大会はレガシーを継承していく責任があると思っています」。あるいはもっとシンプルに「東京大会はレガシーを継承していく責任があると思っています」でいいではないか。

 テレビニュースの現場では、未経験者をいきなり取材に出すことはしない。まずは「内勤」というセクションで、放送の送り出し業務をみっちりと勉強する。原稿のリライト、VTRの編集、それにあわせた字幕スーパーの発注、実際のOA送出、、、業務内容は多彩だ。
 
字幕スーパーには、主に3つの機能がある。「映像に映っているものを示す」「原稿やしゃべりの内容をフォローする」「外国語を日本語に翻訳する」だ。


このうち、「内容フォロースーパー」は目の不自由な方のための書き起こしではない。視聴者に原稿などの内容を理解していただくために作成するもの。文字が多いと読みにくいので、簡潔に要約して字数をなるべく少なくする。担当者のセンスが問われるので、本当に難しいのだ。
 
あのようなスーパーがそのまま放送されるようでは、公共放送サマも現場はかなり“疲弊”しているのではないか。“放送文化”の劣化を危惧する。
(22/6/21)

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