こうして判断している
確か昭和末期か平成前半のホイチョイプロダクションのマンガにこんなのがあった。
大事件が発生してNHKや民放各局が一斉に特別番組(特番)を始めてもテレビ東京だけが通常番組を流している。ところがある事件ではそのテレビ東京までもが特番に入って、登場人物たちが「うわ、テレ東までが特番か。そりゃ大変だ!」とうろたえ始めるのだ。制作体制が整っていない“弱小局”をからかったものだった。
こんな古いマンガを思い出したのには理由がある。
8日夕刻に発生した地震のあとに気象庁が南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」を発表した。なにしろ運用を始めてから初めて出されるものだけに、かつては報道に従事していた私でも「南海トラフ地震臨時情報?それでワシらは具体的にどうすりゃええのよ?」と考えてしまう。今回は「この情報が特定の期間中に必ず地震が発生することを伝えるものではない」ということだが、どうにも落ち着かない。
そして。
地震の発生が夕刻で津波注意報が出たこともあり民放のニュースもこのネタだけで走りきったようだが19時を過ぎるとTBSだけが特番になり、ほかの民放は通常番組になっていた。こうなると「なんだ、そういうことか」となんとなく安心した気分に。そして翌日もニュースはこれ一色になることもなかったのである。
もうひとつの“判断基準”は岸田首相の外遊だ。
首相は9日の長崎の平和祈念式典後に中央アジア五カ国歴訪を予定していた。朝のニュースでその日程を聞いた際には「へえ、総理大臣が国を空けちゃうの?その程度の切迫なんだな」と思ったものだ。結局この外遊は直前に「地震対応を優先するため」としてキャンセルになったが。
ある程度進路が読めるとされる台風と違い、結局のところ地震は予知ができないようだ。それだけ不安がつのるだけに、我々はこうした“状況証拠”を判断の基準にしちゃっているのだな。
(24/8/10)