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神保町で本に「酔う」

珍しく社外で打ち合わせがあり、相手さまの会社に近い神保町に赴いた。生活圏から遠くなったので久しぶりの訪問だ。

半世紀以上も日本人をやっていると街の変遷に戸惑ったり淋しくなったりすることも多いのだが、“本の街”神保町はやっぱり私にとってワクワクワンダーランドだった。

待ち合わせよりも30分も早く到着してしまったので、交差点そばにある「神保町ブックセンター」という店に初めて入った。

派手なPOPや平台が目にチカチカするようないまどきの書店とは違った落ち着いた店内。1冊ずつ並んでいる新作コーナーにも選書センスがキラリと光るものがある。カフェが併設されているのもカッコいいが、「未精算の本は持ち込めません」ということで、このあたりは六本木の「文喫」(入場料がかかるが店内で読み放題、フリードリンク付きの書店)とは違うようだ。小ぶりな店内だが、時間をかけてゆっくり見て回りたくなる、そんな雰囲気だった。

「文喫」はこちら↓


打ち合わせ終了後は(会社に戻らずに)三省堂書店本店へ。そういえば建て替えのため来年3月に一旦閉店するのだった。


こうした大型書店の楽しさは平積み台ウォッチのクルージングである。興味があるコーナーを手当り次第に回っているとまた読書欲が亢進してワクワク、クラクラ。すっかり“本に酔っぱらって”、気がついたら1時間半も滞在していたのである(「とっとと会社へ行け」という声アリ)。

「書棚と平台」という本がある。2009年に出たもので、「出版流通をメディアとしてとらえる」という研究書なのでちょっと敷居が高く読む気にはならないのだが、なるほど、Amazonでは出会えないようなリアルな出会いがゴロゴロしている空間はまさに“メディア”。「この体験は貴重だなあ」と思う(「書棚と平台」がそういう内容なのかどうかは知らない)。

その後は東京堂書店も徘徊して、やっと神保町を離れた。グッタリ疲れたが、頭は妙に冴えているという不思議な感覚だ。

きょうの平台クルージングはまさに至福の時間だった。ちょっとくらいアクセスが悪くても月に1回くらいは足を向けてもいいのかもしれない。

あ、三省堂は3月で閉店か。それ以降はどこへ行けばいいのだろう。

新宿・紀伊國屋書店は耐震工事を控えていて、なにより人が多すぎるのがイヤ。渋谷・東急本店7階のジュンク堂書店も2023年に百貨店が取り壊されるとどうなってしまうのか。八重洲ブックセンターの平台はなぜかちょっとワクワク感に欠ける。定点ウォッチを続けるなら池袋のジュンク堂本店なのかなあ。
(21/11/26)

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