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ホンネが漏れ出ちゃう
昭和末期から35年間報道に携わってきた。その際は無意識に24時間事件・事故・災害に身構えていたところがある。「起きるときには、起きる。だからいつもパンパンに緊張していても特に意味はないし、疲れるばかりだ」と思ってはいたが、習い性になってしまうとどうしようもない。
昭和60年夏の日航機の御巣鷹山墜落の際はまだ学生だったが、それ以降も飛行機の墜落は世界各地で相次いで、「いつも起こりうる発生モノ」だった。数人でデスクのシフトを回していた外信部時代、やたらと墜落事故に遭遇した同期はみんなから「撃墜王」と呼ばれ、若い記者からも「あ、きょうは●●さんがデスクかー、何も起こらないといいなー」などとからかわれていたものだ。そういえば近年は墜落事故がめっきり減少したな。これは確実に人類の技術の進歩である。
私がまだ高校生だった頃だろうか、外国で起きた墜落事故を伝えたニュースでキャスター(アナウンサー?)が「幸い、日本人は搭乗していませんでした」という原稿を読み、父が「日本人がいなければいいのか?」と怒っていたことがある。なるほど、不謹慎極まりない不用意な発言だが、その後自分が報道機関に奉職してみたら、日本人の死者がいるといないではニュースバリューとそれにかけるカロリーが全然違ってくるもので、「ああ、日本人がいなくてよかった!」というのはニュースの現場の偽らざるホンネだったのだと気づいた。
こんな話を思い出したのは、きのうのTBS膳場キャスターの「プラスのアピールになりかねない」発言の炎上からだ。
私は番組は見ていなかったが、記事の通りだとすれば、この「なりかねない」発言は用意された原稿ではなく、スタジオの会話の流れの中で漏れ出ちゃった膳場氏のホンネのように見える。
よっぽどトランプ氏が嫌いでいらっしゃるのだろう。しかしそのホンネをこんな形で漏らしてしまうことは、プロとして電車のなかで屁を漏らすよりも恥ずかしいことではないか。
(24/7/15)
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