僕の好きな詩について 第十九回 吉増剛造
僕の好きな詩についてお話しするノート、第十九回は、「詩の巨人」吉増剛造氏です。
正直僕には理解できないものも多いのですが、でも「なんか凄い」とはいつも思わされます。
ひたすら長い詩が多い印象ですが、今回は短めの詩を。
――――――――――――――――
「燃える」吉増剛造
黄金の太刀が太陽を直視する
ああ
恒星面を通過する梨の花!
風吹く
アジアの一地帯
魂は車輪となって、雲の上を走っている
ぼくの意志
それは盲ることだ
太陽とリンゴになることだ
似ることじゃない
乳房に、太陽に、リンゴに、紙に、ペンに、インクに、夢に! なることだ
すごい韻律になればいいのさ
今夜、きみ
スポーツカーに乗って
流星を正面から
顔に刺青できるか、きみは!
―――――――――――――――――
非常に音楽的で、前のめりな詩ですね。スピードを感じます。僕はちょっと入れ墨できないです。顔に。 こう言う風に燃焼出来ない。
初めて手にした吉増さんの詩集は持ち重りして、中がぴらっと開いたりして、でも読んでも全然意図が見えなくて、「これは僕には早い!」と思ったものです。でも、どの詩を読んでも凄みは確かに伝わってくる。圧倒的な語彙、感性の圧力、これが詩なら僕は一生涯詩を書けないだろうと思わせる液体が行間に満ちています。
未だに詩集を一冊丸々読める気がしませんが、凄く好きな詩人であることは間違いありません。朗読も盛んになさっている方なので、いつか聞かねばと思っています。
いつか詩集を出したいと思っています。その資金に充てさせていただきますので、よろしければサポートをお願いいたします。