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どこかの誰かの物語

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どこかの誰かさんの身の上話
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2020年7月の記事一覧

 さて、身の上話は粗方語り尽くしたのでは、と思われるかもしえないがまだある。これがどの家庭でも世間的に見ても普通の事ならば、私は生きることそのものが向いていないのだと思う。
 それでも今生きているのは、そんな理由で命を手放す事が馬鹿らしいと思えているからである。

 そんな私でも死を選ぼうとした時があった。高校に入学して最初の夏休み、私は全てを投げ出したくなったのだ。
自分の進路や将来に希望を見出

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 家族の事をもう半分くらいは書いたので、次は学生時代の私を書こうと思う。
例によって良い思い出などはほんの指先一欠片、それでもどうにか笑顔を浮かべて通っていた頃の話である。

 親から食事を作るように言いつけられて数ヵ月経った頃、私の手に異変が起きたのだ。端的に言えば、食器を手洗いしていた為か手が酷く荒れたのだった。
 当然、外見を気にする母は私を皮膚科に連れて行き、その車内で何度も言われた。

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 今回は主に祖母の話をしようと思う。母方の祖母で、母方の祖父は他界して透析とデイケアに通いながら一人で暮らしている。
よく病院や施設の方からは『大人しくて可愛らしいお婆ちゃん』などと言われているが、私から見れば悪魔のような存在だ。
 多忙の母に代わって育てて貰ってはいたが、その恩を上回る程の憎悪が私にはある。今回は何故私がそこまで祖母を憎んでいるのかを書き起こそうと思う。

 祖母に預けられた幼い

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 前回は主に父に関する事が多かったので、今回は母に関する事を書こうと思う。
まだ前回の分を読んでいないという方は読みたかったらで構わない。この物語たちの1つずつに話の繋がりも読むべき順序もないからだ。
内容は暗く明るい部分などない為、ご自身の精神面に気を付けてほしい。

 私の母には決まった口癖がある。
「ママのようにしなさい」
「ママの子なら出来て当然でしょ」
と、いうものだ。これを一番古い記憶

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 今まで当然のことだと思っていた事が、ふとした瞬間に酷く異質なのだと気づく事もある。当然、それは私にも起きた。
 認知の歪みとはよく言ったもので、一度でもそれに違和感を覚えてしまえば今までのようにはいられないのだ。
 私の身の上に起きたのは、父と母から与えられた枷と祖母の呪縛。どちらもごくごく普通の一般家庭でも起こっていることだと思い、今もなお受け入れて生きている。
いや、受け入れざるを得ない状態

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