小川春佳
フリーモデルしている私が出会った面白カメラマンさんについて書きます。バックナンバーは別マガジン有料版。よろしければどぞ
今このシリーズを読んでる人からは 「直接言えばいいじゃない」とか「わかって欲しかった、なんて甘えだ」と言う人も多いと思う。 その人たちには「あなたにとって、親が毒でなくてよかったね」としか言いようがない。 物心つく前から無償で愛を求める手を振り払われていた苦しみは私にしかわからない。 私は条件付きの愛情をもらっているように思う。 最初にそう思ったのは、いつだったか。 例えば「祖父はあなたを姉に養子にやれと言ったけど、お母さんはやらなかった」と言われたとき (なんでそんな
でも、私の忘れ物も、なくし物も、なくなることはなかった。 遊びに行けば水筒をなくし、雨の日に出かければ傘を忘れ。 定期も財布も携帯も、気がついたらない。 私の連絡帳は忘れ物欄でいっぱいだった。 それでも母親は、その事実から目をそらしていた。 「あんた頭が良いから大丈夫よ」と。 たしかに無駄に頭は良く、それ故に教師からも嫌われた。 落し物箱は「小川箱」といわれ、連絡帳は「忘れ物帳」と呼ばれ「逆になんなら持ってきてるの?」と揶揄された。 それでも私は、傷つかないで「うけるー」っ
私は大人になって発達障害の診断を受けた。 気持ちが楽になったのを覚えてる 全部を病気のせいにするわけじゃないけど 少なくとも自分の努力不足でもなまけでもなかったのだ。 私は発達障害だって、多分親は気付いてた。 特に母親は気付いてた。 私が片付けられないことも過集中なことも全部知ってた。それが障害の特性だとも知ってた。 でも「これは障害じゃない。頭が良いから。努力でなおる」母は自分に言い聞かせるみたいに、私に言い聞かせた。 #発達障害 #毒親育 大人になってから発達の診断を
私のこのエッセイが、誰かを傷つけかねないことは充分理解しています。 それでも書きたかった。 同じ境遇の人のため?いいえ、私のために。 私は、身体障害者娘としてこの世に生まれた。 子供の頃は特別なんとも思っていなかった。 母の背骨が曲がってて、歩けはするけどびっこを引く。 股関節に人工の何かが入ってるんだという。 でも、障害者枠で働くぞ! と簿記の資格をとったり働くそういう母だった。 父は今で言うADHDだけど認定は降りてない。別に本人は困ってないから良いと思う。 そんな
もう夜も遅い時間なのに、玄関のチャイムがなってちょっとびっくりした。 「僕が出るよ」 お父さんはそう言って、玄関に向かった。私と若葉は、なんだろうねといいながらカキフライの残りを食べていた。 玄関で、誰かとお父さんが話をしている。してるというか、話し込んでいる。 「あらあら、お客さんなら中にいれてあげればいいのに。」 お母さんが立ち上がって、玄関に向かった。私と若葉は食事中なので立ち上がらなかった。 少しして人が帰ったらしく、お父さんもお母さんもリビングへ帰
問い合わせがありました。素人モデル出会った〜略、に書いているカメラマンさんとは 現在一切ご縁がありません。 当たり前ですが初めて撮影し、もう二度と撮影を受けない。と決めた方のものしか載せていません。 団体所属撮影会の方の話は一切ありませんので、そこの所よろしくお願いします。
ー聞いた?山口社長の話。 ー知ってる知ってる。加藤専務がさ・・・ ー社長代理って言わないと、解任させられるよ! ーやだー! 会社の事務担当の鎌田さんと梅森さんという女性二人が、社長と加藤のことを噂していた。 みんな、反応は一緒だった。 社長はいい人だけど、加藤についていけば、もっと給料がもらえるかもしれない。それだけ。 僕のプロジェクトチームは空中分解して、リーダーの僕は本当の意味で窓際族になってしまった。 「高橋さん、お茶どうぞ。」 鎌田さんに煎れて
夕食はお父さんの好きなカキフライだった。お父さんは、うれしそうにそれを食べていた。僕とお姉ちゃんは、あまり食欲がなかった。 「もう一度、会社を興そうと思うんだよ、紅葉。」 お父さんが、お母さんの名前を呼んだ。 「そうね、それがいいかもね。前の会社より、うんと大きな会社にすればいいのよ」 お母さんが、何度もうなずいた。僕は、本当にそれでいいの、と聞きたかった。 あの会社は、お父さんが、お母さんのお父さん・・・おじいちゃんからもらった会社で、ぼくやお姉ちゃんが生ま
学校のチャイムの音で、意識を、今に戻す。昨日から僕は、社長とのいい思い出ばかりを思い出していた。 そろそろ青葉ちゃんの授業が終わる時間で、そろそろ僕は窓の鍵を開けて待っていないといけない時間で、そして青葉ちゃんに、「泥棒がはいるよー」といたずらっぽい笑みを向けられるころだ。 けれど、僕は意識を窓からそらした。鍵も開けなかった。せめて僕の姿を見せないようにと、埃の積もったブラインドをおろそうとしたとき、タイミング悪く、絶望した表情の青葉ちゃんと目があった。 お父さ
君は窓際族でいてくれるかい? 僕ー高橋は、山口社長の快活なほほえみを思い出していた。この会社は、社長の下に専務が居て、あとは数十人の部下がいる。僕は玩具を作るときのプロジェクトリーダーを任されている。 待遇的にも、世間一般における窓際族ではない。 でも、社長はいつも僕の席を窓際においた。 青葉ちゃんが登ってきたときに、一番に窓を開けられるように。 言葉には出さなかったけれど、 「また忍び込んだのか・・青葉は忍者になれるんじゃないか?」 前に、そう言いながら青葉
翌日から、お父さんはずっと家にいるようになった。でも、私にも若葉にも、それが何故か、は言わなかった。 「お父さん、会社行かなくていいの?」 若葉の問いにも、お父さんは 「ちょっとながめの休みをもらったんだよ」といって、青い顔で笑った。 お母さんは、こんな休みをもらえるのだから、家族旅行にでも行きましょうか、とひきつった笑みで言った。 私と若葉は、それ以上何も聞けなくなった。 でも、私は、もうお父さんが社長じゃないことを知っている。誰のせいで、そうなったかもしっ
うちの小説にもし誰かが挿絵つけてくれたら幸せだなぁ なんて考えながら 寝ます 基本的にカラスの魔法は毎日更新していきます
昨日のカレーは美味しかったなあ。なんてことを考えながら、私はジャックと一緒に下校中だった。今日の宿題はわからないところが多いから、若葉に教えてもらおう。 「そうだジャック!高橋さんが新しいおもちゃの試作品があるよって言ってた!行こうよ!」 ジャックの、ゴー!という合図とともに、私は駆けだした。家から、公園を挟んで反対側にある、お父さんが経営する小さな、三階建ての玩具会社双葉へ。 玩具会社も、他の会社の人に新開発の玩具の内容を知られちゃいけないから、入口には認証キーが
僕は玩具が嫌いだ。なんで玩具会社の息子になんて生まれてしまったんだろう。僕は世界一不幸だ。 僕はお姉ちゃんが嫌いだ。お姉ちゃんは青葉と言う。僕の名前は若葉。わかめとか言われてとても腹が立つ。お姉ちゃんが嫌いなわけは、お姉ちゃんが玩具と仲がいいからだ。 もう小学校の5年生になろうというのに、まだジャックと名付けた汚いぬいぐるみをいつも離さない。僕はそんなものもう卒業した。ちなみに僕は小学校の3年生だ。僕の方が大人だ。 お父さんとお母さんは、お姉ちゃんの方が可愛いのかもしれ
「青葉ー!青葉どこにいるのー?わたしもう帰るよー?」 友達のユリカの声で目覚めた私は、大きく伸びをして欠伸をした。かくれんぼの最中だった。木の上にのぼって、そのまま眠ってしまったんだった。背中に背負ったテディベアのジャックがクッションになっていい気持ちだった。 私は木からするすると降りると、ユリカのそばへ走った。 「青葉、また木登りしてたの?ずるいよー、絶対見つけられないよ」 「登りやすい木を見分けたらユリカにもできるよ。もう帰るの?」 見回すと、他の子たちはも
ターゲットが近づいてきた。真新しいブランドバッグに高いヒール。顔には色の濃いサングラスをしている。ブランド趣味の、専務の妻。 横には荷物をたくさん抱えた専務がよろよろと歩いている。 今、私たちは何もかもを取り戻すために戦っている。大人は大人のやり方で、そして、私は私のやり方で。 私はターゲットを見つめて、自慢の長い髪を後ろで一つにくくった。片手には、私の相棒。テディベアのジャックも一緒だ。足下には、道路にも関わらず玩具が散乱している。 使い古したデニムのパンツに、タ