売名のために安く働くべきか?
クリエイティブのためのビジネスを発信する大人気メディア、The Futur。私はフリーランス技のほぼすべてを主催のクリス・ドーに教わりました。今日アップされた動画で、ものすごく面白い&白熱した議論があったので、日本語で要約してみようと思います。
ゲストはEverydayで有名なCinema 4Dの神Beeple(動画では本名のマイクと呼ばれています)。
テーマは「売名のために安い金額/タダで働くべきか?」ルイ・ヴィトンからBeepleにきた仕事への金額が安すぎると、クリスとマイクが議論します(最初の30分は飛ばして大丈夫です)
最初のクリスのスタンスはこうです。
企業は自分の提示額より予算が桁違いに大きいことがかなり多い
クリエイターは自分を低く評価する傾向にある
交渉を学べば、最初から相手に大きい金額を提示させることができる
対してマイクのスタンスです。
クリエイターは(プロジェクトに対して)自分のスキルを大きく見積もる傾向がある
クリエイターとしての貢献が「あったら良い」と「必要」では大きく違う(ルイ・ヴィトンを買う人はヴィトンを求めているのであってBeeple作品による売上貢献はほぼゼロ)
クリスの反駁
企業は交渉に強い。マイクのような謙虚な人を利用する人も少なくない
クリエイティブにとって唯一の力は、作品を売り渡すか断るかだけ
1度タダ/安くやってしまうと聞きつけた他の企業も同じ値段を求める
マイクの反駁
「売名」が将来の自分の売上に役に立つならやるべき
売名が役に立つのは自分の作品だと明らかにされる場合のみであり、90%以上の「売名するから安くして」オファーは条件が最悪
しかし長い目でみて自分の作品が人の目に触れ、自分のものとわかる場合は「売名」の価値がある
クリス
「希少性」は価値である。何にでもYesと言わず、価格、条件などすべてが揃ったときだけ仕事をすることは自分の価値に繋がる
マイクはクリスに反対
「希少性」には価値がない。「どれだけの人が自分を知っているか」に価値がある
特にキャリア形成を始めたばかりの若手は「誰も自分を知らない」ことが大きな障害になる(めちゃくちゃ良い仕事ができるけど誰も自分を知らない vs ぜんぜん普通だけど有名、では後者がビジネス的に成功している)
今すぐ収入にはならなくても「売名」することで仕事が増えるなら投資
クリスの回答
「どれだけの人が自分を知っているか」に価値があることに同意。Beepleはこの力によって今の地位まできている
お金をたくさん持っている企業が一クリエイターに潤沢な資金を払えることぐらい問題なくできるはず
「売名に価値がある」と気づいた企業がクリエイターを利用することでタダ/安く買い叩く姿勢は不快
次は「売名に価値がある」ために制作のためにクリエイターにお金を払わせること
これらは正しくない。「だから僕は立ち上がってノーと言わなきゃいけない」
マイク
クリスが言った通り、売名には価値がある。キャリアにプラスに働くならそれを受け入れるべき
ただし価値のある売名はごく少数である。99.999%は断って良い。
「価値のある売名」とは影響力のあるブランドに、ちゃんと見えるようにクレジットが入ること、作品が良いこと
「価値のある売名」はケースバイケースである。自分にとってためになることがあるか、しっかり考えるべき
自分にとって一番大切なのは家族を養うこと。そのためにプラスになるかどうかが判断基準。企業が自分を利用することに対しての感情はプライドの問題
クリス
売名のためにSNSをうまく使うこともできる
企業に100%頼らずに「売名」は可能と忘れないべき
結論は、
「売名のために働くこと」が価値があるのはごく稀なパターンだが、やるべきときもある。99.9%は企業に利用されているパターンなので気をつけないといけない。いつ、どこでYESというかしっかり考えること。参考にすべきポイントはちゃんと見えるようにクレジットが入ること、作品が良いことなど。
他にもNFLのパフォーマーは、ビヨンセやジャスティン・ティンバーレイクだろうと名もなきチアリーダーであろうと全員ギャラなし、などびっくりエピソードもありました。
NFLとは...アメリカフットボールリーグ。フットボールリーグ優勝決勝戦のスーパーボウル(日本の野球で言うところのクライマックスシリーズ最終戦)は世界で一番視聴率が高く広告費が高いことで有名
同意できない!というところでバチバチに議論しながらもお互いのスタンスをリスペクト’する感じはすごくアメリカ感じです。お互い、個人的攻撃ととらないで面白い問題提起ができるのは良いなあと思います。
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