雪と親友の恋
寒すぎる冬。雪に弱い東京で育った私は、やっぱり雪に弱い。雪はきらいじゃない、でもどうしたらいいか分からなくてイライラする。
わたしをイライラさせているもうひとつのこと、それは親友の恋だ。
彼女が今、恋をしている人は、人をたたく。やめてと言ってもやめない。まともな会話が出来ない。恐らく悪い人ではないが、会うたびにぐったりする。だから、私は彼が苦手だ。
彼女は目の前のことにのめり込む性格で、客観的に自分を見ることが苦手だ。初めはいやだな、と思っていたことも回数を重ねるに連れて違和感をどんどん感じなくなってしまう癖がある。とびっきりの優しさからくる彼女のそんなところに私も救われたことがあるのだけれど。
恋愛において、彼女のそんな癖は、彼女を苦しめることを私は何度も見てきたから。
私は、彼女に幸せになって欲しい。
それも、誰もが微笑んでしまうようなおだやかな幸せに包まれて欲しい。
恋はコントロール出来ない。一瞬の風のような恋を私も経験したことがあるし、苦しい想いをしたこともある。だからこそ、彼女に目を覚まして欲しいのだ。やめろ、と言いたい気持ちは抑えている。彼女はかたくなになると分かっているから。
「きっと彼は変わると思うから」のひとことで、目を瞑ってしまわないで。
雪が溶け、太陽が私たちを優しく包み込むころ、彼女が笑っていますように。
雪への接し方も、親友の恋も分からない。ああ、イライラする。
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