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コンビニコーヒーの話

コンビニのコーヒーが好きだ。特に、アイスカフェオレ。

学生の頃を思い出す。

少し暑くなってきた、初夏の頃だったと思う。
友人とコンビニに昼食を買いに行った。

たしか、昼明けすぐの時限に授業がない日だった。
いつもは生協で買うのだけど、今日はちょっと遠出しよう、という話になったと記憶している。

ここのコンビニのアイスコーヒー美味しくて好きなんだ、と友人が言っているのを聞いて、自分も買ってみることにした。

氷がたっぷり入ったカップを冷凍の棚から取り出し、レジで会計を済ませると、
カップについているビニールの蓋をペリッと開け、機械にセットする。
ボタンを押すと、まずミルクが注がれる。豆を挽くような音もしている。
ミルクはかなりたっぷりだ。
ミルクが止まったかと思うと、
エスプレッソを思わせるコーヒーが垂れてきて、
ミルクの上半分が、優しい茶色になっていく。
コーヒーが止まる頃には、
コップの上から下にかけて、濃い茶色→白の綺麗なグラデーションができ上がっていた。

そこにストローをさし、片手にカフェオレ、もう片方に買った昼食を持ってコンビニを出る。
細かい氷がかすかにカラカラと音をたてている。

初夏の陽気の中、一口飲んでみる。
うわあ、美味しい!と素直な感想が口を衝いて出た。
でしょー?と、友人も笑う。

酸味が少なく深く香ばしい味わいで、そのあとにミルクの包み込むような甘さがやってくる。ガムシロップを入れなくても、ミルクの甘みだけで十分だ。

これまでコンビニで買うコーヒーといえばペットボトルのコーヒー飲料くらいで、
レジ横のコーヒーマシンを使ったのも、実は初めてだった。
ペットボトルのも美味しいけど、レジ横コーヒーがこんなに美味しいとは。
値段と量を比べたらちょっと割高だけど、これは買わずにはいられない。

それ以来、授業の合間にここのコンビニでカフェオレを買うのがちょっとした贅沢になった。
この後の授業は気合い入れるぞ、という時や、今日は頑張った!という日には決まってカフェオレを買った。
今思えば、あの時間そのものが贅沢だったのかもしれない。

時は経ち、値段で言えばもっと高くつくコーヒーや、
挽きたての豆を使って自分でドリップするという、別の形の贅沢を知った。
それでも、自分が選んだ分野の勉強をして、友人と切磋琢磨し、頑張ったらコンビニでカフェオレを買って自分を労う。
そんなかたちの、あの贅沢はもう簡単には手に入らない気がしている。

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