リトリートを始めます
風のラボ、という屋号をつけたのは2018年の終わり頃だったと思う。
センスの塊のような建築家の友人に、「ヨガ教室を始めたいのだけど、なにかいい屋号ないかなあ」と相談していたとき。
「なんか、晴子さんからは風を感じるんだよねえ」
という返事が返ってきた。
そのときはまだ、「風の時代」という言葉も知らなかったので
「へえ、風かあ」
と意外な気もしたけれど、とにかくセンスのいい彼女の言うことなので、そのまま使わせていただくことにした。
ただ、ヨガ教室をしたいとは思っていたけど、屋号に「ヨガ」を入れるのはなんだか違うな、と思っていて、いくつか言葉をピックアップしたうちのひとつが「ラボ」=実験室だった。
ラボという言葉には、今までにやったことのないことをやってみる、とか、誰かと誰か、何かと何かの化学反応が起きるところ、みたいな意味を私自身は感じている。ただヨガを教えるだけ、の場所より幅を持たせたかったし、いろいろな人に参加してもらえる「場」づくりをしたかったんだと思う。
この名前のもとで、どんな活動ができるのか、はじめは手探りでお料理教室などやってみたり、工作の得意な友人にワークショップをやってもらったりした。FBで地元の素敵なクリエイターや起業家の友人を紹介する文章を投稿したり、ヨガとオーガニックマルシェのイベントを行ったりした。
やがてコロナ禍で、人と集うスタイルが対面からオンラインに変容したことで、「ラボ」の意味合いも少し変わっていった。遠隔地にいる人たちとつながり、心と心、コミュニケーションについての探究をする時間がだんだん増えていった。
「変容」といえば、自分自身にこの5年間で起きたことも大きい。
20年近くに及ぶ実母とのわだかまりが解け、娘や息子とのつながりや、コミュニティの中での自分の在り方がどんどん変わっていった。いや、外的には何も変わっていないと思うけれど、自分の内側で起こる、もうひとりの自分とのコミュニケーションの密度があがっていき、これまで拾えなかった繊細な心の声に気づいてあげられるようになった。
今までは、不安になったときに不安感の源がわからなくて余計不安だったけれど、いまは不安を抱えたもうひとりの私を、私が抱きしめてあげられる、そんな感覚がある。
この感覚は、これまで「からだとこころ」をつなぐヨガを実践してきたことと、「どんな感情にも居場所をつくる」NVC(Non Violent Communication)のプロセスを体験してきたことで、もたらされたもの。
このふたつを融合させたら、必ず変容が起こる。
そう確信できたいま、わたしは必要な人にこのプロセスを届けたいと思っている。
2023年4月から、モニターを募って始動したワンデー・リトリート。
まだ一歩を踏み出したばかりだけれど、この歩みを止めないで、風のラボが誰かと誰かの化学反応が起きる場として、役割を果たす瞬間にわたしも立ち会いたいなあと願っている。
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