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解き放たれる守護者

2019-2020シーズンの長く、そしてイレギュラーかつスリリングなノックアウト方式のCL決勝トーナメントはバイエルンの優勝で幕を閉じた。

ドイツらしい強かさをもったクラブが欧州を制したのは、時代の転換期の訪れを感じる。

バイエルンといえば、
その昔、ベッケンバウアーという皇帝がいた。

リベロというポジションを生み出した、70年代の旧西ドイツ代表選手であり、1990年W杯、ドイツが併合する直前、つまり、最後の西ドイツ代表監督である。

リベロとはイタリア語で自由な人。
攻撃センスがあるセンターバックが最後列からパスを繋ぎ、攻撃に加わる。
あまつさえ、シュートなどのフィニッシュワークにまで参加するという画期的なポジションだ。

マドリーでも皇帝ともいえる、
アクティブなリベロがいる。
姓はフランツではなく、セルヒオだが。

我らがカピタン、セルジョ。

セルジョはSergioのItaly読みで、かつてカンナバーロが呼んでいた愛称だ。

現代に復活したリベロはセルヒオ・ラモス以外だと、フランクフルト時代の長谷部くらいしか思い当たらない。

マドリーにやって来た時、彼は右サイドバックだった。

いまとなっては、どこにだしても恥ずかしくない、急に前線に絡みだす紛れもない"リベロ"と化した。

そんなセルジョがどのような時間を経て、今に至ったのか簡単に振り返ろうと思う。

15年前、マドリー加入したての彼はぴちぴちのイケメンだった。


10年前に遡ると、彼は成熟し始めたイケメンになり始め、そして王者の風格を漂わせだした。


2年前、手にしたビッグイヤーの数は4つ。
地元(CL)じゃ負けしらず(優勝回数)のヤンキーになっていた。


そして、永い外出禁止期間から解放されたかつての抱かれたいほどのイケメンは………………………………………………………………………………………

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ジャングルの王者にステータスを全振りしたPK職人と化し、

そして、

彼は、

ロナルド・クーマンを越えた。


セルジョは、かつて外様ながらマドリーの最終ラインを支えた偉大な元主将イエロがいなくなった年齢が迫るほどに、在籍期間が長くなった。

彼には、現在は威厳に満ちた皇帝の面影はないが、どこに出しても恥ずかしくない野生児が来シーズンもピッチに君臨していることだろう。



我らがカピタン、セルヒオ・ラモスが2020-2021シーズンにユニフォームを着ることを忘れていないことを願っている。

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