メンバーも会社も幸せになる「自己愛の仕組み化」の魔法
こんにちは。川村ハルカ(@rocst_hal)です。
みなさんは「自己愛」という言葉にはどんなイメージがありますか?
おそらくナルシストとか、他人のことを考えられない人は自己中だとか、ネガティブなイメージ持っている方が多いんじゃないでしょうか。
ところが、自己愛は、
・挑戦力
・レジリエンス(立ち直る力)
・生産性
・成長率
など様々な能力やポテンシャルの土台となっています。
そこで今回は、
「若い世代が自己愛を持ちづらい理由」
「自己愛を仕組み化して、超ハイアウトプットな組織をデザインする方法」
こちらのテーマについてお話していきます。
自己愛の脆弱性はどこから来るのか?
自己愛は自己肯定感と言い換えてもいいと思います。
この自己肯定感が特に低いと言われているのが、いわゆる「ミレニアル世代」と言われる90年代前後に生まれた世代です。
要因のひとつとして、若い世代の自己愛や自己肯定感の脆さ・危うさは、
時代があまりに急激に発展してしまったせいで生じた世代間ギャップ
から起こっています。
かつて、「幸福」はとても分かりやすいものでした。
それを示した図がこちらです。
ミレニアル親世代の自己実現といえば、結婚、子供を産み育てること、そしてトップダウン型の組織で社会貢献すること。
親世代にとって幸福はテンプレート的で、オーソドックスで、一元的でした。
では私たちミレニアル世代の幸福はどうか。
私たちの時代はVUCA、すなわち不安定(Volatility)であり、不確実(Uncertainty)であり、複雑(Complexity)であり、曖昧(Ambiguity)な時代です。
インターネットやSNSの発展により、一部の有名人だけの特権であった公的な自己開示の権利は、今や現代を生きるすべての人に手渡されました。
少数の人間だけに許されていたはずの「特別」はありとあらゆる人の手に届くものとなり、一方で持たざる者の不幸の輪郭は、残酷なまでにはっきりと浮き彫りにされていく。
現代は、かつてないほど他者との比較が容易になり、自己愛を育むのが難しい時代になりました。
解像度の高い自分像を確立しなければ、とてもではないけれど自己肯定感など持つことができません。
ミレニアル世代とその親の世代の間には、越えがたい深い溝が存在します。
両者が理解し合うには、育ってきた世界のコンテクスト(文脈)があまりに違いすぎるのです。
にもかかわらず、多様な価値観を見せつけられるSNSツールやその中で繰り広げられる熾烈なアイデンティティ戦争などつゆほども知らない世代が彼ら(=ミレニアル世代)を育て、教育を行っています。
自分を表現する方法もその楽しさも、VUCA時代を死なずに生きていくために必要なスキルも教えられず、かつ出る杭は叩かれる。
教師や親は「知らない」のだから当然教えることもできないわけです。
自己愛はあらゆるポテンシャルの原点
勿論すべての親や教育の場がこのケースに当てはまる訳ではありません。
ですが、こうした環境の中で育った人たちの多くが、自分にとって何が好ましく、あるいは避けるべき物事なのかを知る機会もないまま大人になってしまい、就職などの人生の重要な局面に「突如として」立たされることになります。
彼らは自己理解や自己愛を育むという経験を積んできていないので、自分自身への解像度も低いままで自己愛も希薄。
すなわち、自己肯定感がとても脆い状態です。
冒頭で述べたように自己愛は、
・挑戦力
・レジリエンス
・生産性
・成長率
など様々な能力やポテンシャルの土台となっています。
自信がない人はダメという話ではなく、自分らしく充実した人生を生きたければ自己愛と自己理解から着手しましょうという話。
大多数の人間と同じ平凡で退屈な人生を歩みたいなら別ですが、望んでそうなる人はほとんどいません。
成功したと実感できたり、好きなことを思いきりやったり、生き生きと仕事したり、やりがいに情熱を注ぐ人生の方が遥かに豊かであるはずです。
そのために自分自身を愛してあげることが、何にもまして大切なのです。
自己愛を組織で仕組み化する
ベンチャー、スタートアップなどの比較的若い会社であれば、会社の中核を担うのはまさにこうしたミレニアル世代であると思います。
そうです。
自己愛を持てない、自己肯定感の低い人々。
乾けない世代。
生まれたときからモノは満たされていて、高い熱量を持ちづらい人材。
彼らのポテンシャルを最大限引き出すために、人事やマネジメントを触る皆さんにはぜひ「自己愛の仕組み化」にチャレンジしていただきたいと思うのです。
ポイントは2つだけです。
ひとつは、無条件の承認をあげること
そしてふたつめは、自己効力感を育ててあげること
無条件の承認は、ありのままのその人を受け入れることです。
価値を生み出したり役に立ったりといった条件なしに「あなたが存在してくれていてうれしい」というメッセージを折に触れて伝えてあげます。
自己効力感は、「成長マインドセット」とも言い換えることができます。
運や才能ではなく、努力次第で自分の未来を変えていける、自分にはその力があると信じる力のことです。
自己効力感は、成果や結果ではなく努力や工夫を誉めること、失敗に対する正しい対処の仕方を教えることで育んでいくことができます。
正直時間はかかると思いますが、ここまでやっている会社は圧倒的に少数派。
だからこそメンバー一人ひとりの深い部分に手をかけてあげる「自己愛の仕組み化」は、競合他社が追い付けないレベルで企業の生産活動を加速させる装置として作動するはずです。
自己愛を組織で仕組み化するためのヒント
最後に、自己愛を組織で仕組み化するための具体的な施策についてもご紹介します。
方向性としては、
①無条件に承認する
②自己理解から始める
③モチベーションは根性論ではなく科学的根拠をもとにアプローチする
の3つのベクトルとなります。
①無条件に承認する
・1on1の機会を増やす
・マネジャー陣の傾聴力を向上する
・マネジャー対メンバーの数の上限を守る
無条件の承認の基本は傾聴です。
世代間ギャップの教育に圧迫されてきたミレニアル世代には、「自己発信をありのままに肯定してもらえる」という体験が不足している人がとても多いです。
基本的なことですが、相手の目を見て話し、アクティブリスニング(相づちやうなずき)をする、やってくれたことに対して即座にフィードバックをすることを心掛けてください。
「マネージャー対メンバーの人数の上限」については、グーグルなどではマネージャー1人に対しチームメンバ―7人が一人ひとりをじっくり見てあげられる限界の人数と言われています。
1on1を週一回、一人につき1時間行うとしたら、丸一日使ってチーム全員分の1on1が完了するイメージです
プレイングを兼ねる場合であっても、リーダー業務との兼業はNG。
最低でもマネジメント8割プレイング2割ぐらいまでには、プレイングの割合を抑える必要があります。
マネジャー陣への教育も積極的に行っていきましょう。
②自己認識から始める
・自己認識の機会を提供する
・チームで自己開示する
自己認識(自己理解)とアウトプットの質はとても密な関係性にあります。
個人の成長は、
自己認識→自己開示→自己表現→自己実現
という順番で起こります。
自己開示の際には、自分だけが分かる感情を「伝わる形に翻訳して相手に渡す」という作業が必要になります。
そこで、
・なぜ自分はこの会社に来たのか?
・この会社でどういう成長、成功をしたいのか?
・どういう人生を生きてきたのか?(自分史)
・価値観は?
・強み・弱みは?
を深掘りして話す機会を、短時間でもいいので日々の業務とは別に設けてみてください。
こちらの本もおすすめです。
③モチベーションは根性論ではなく科学的根拠をもとにアプローチする
やればできるだろとか長時間やってる人が偉いみたいな風潮未だにありますけどあれほんっと意味ないですからね。
科学的根拠をもとに集中力を解説しているおすすめ書籍はこちらです。
おしまい
組織設計の分野はまさに過渡期だなあと感じています。
新たな時代の中でメンバーも幸福になる&会社も幸福になるという設計の仕方は、長期的に生産性の高い盤石な組織の土台になっていくはずです。
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