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ちいさな居場所~みんなの図書室 ほんむすび~

大阪あべのの聖天山公園に、私設の図書室があると聞き、訪ねてみました。

阿倍野区聖天山公園、木造りの建物。
周囲に個人宅があるため一部ぼかしを施しています

公園に入り、見えてきたのは木の風味あたたかい建物。

みんなの図書室、ほんむすび。
ここは地域の交流の場をかね、さまざまな方が本を寄贈するシェア型図書館なのだそう。突然の訪問でしたがあたたかく迎えていただき、お話をうかがいつつ本棚を見せていただきました。

きっとどれか「刺さる」、だれかのおすすめ本

この図書室いちばんの目玉は、一箱本棚オーナー制。
木で仕切られたスペースをまるっと借りて、自分がいいと思う本をほかのだれかに借りてもらえるんです。

絵本、マンガ、廃線探訪の本。たくさんある中、英語学習好きの私は「多読」の本に目を奪われていました。

これ、すっごく貴重なのでは……?

多読とは、うす~い子どもむけの絵本など文章量のすくない英語のペーパーバックを「わからなくてもいいからまず読みきる」ことで、かるい負荷をかけつつ、マラソンのように走りつづける学習法です。

大学時代、先生におそわってやってみた学習法なのですが、絵があるので楽しくつづけられるのがポイント。
「英語苦手やねん」と言っていた友だちが「オレ、これならいけるかも……」とめきめき伸びていったのを目の当たりにしました。

難点もあり、個人でそろえるにはお値段がはること。
図書館でもなかなかおいてないのですが、多読を広めているサポーターさんが本棚においてくださったのだそう。

ほかの本棚もオーナーさんの個性が出ていて、きっとどれかが自分に刺さるんじゃないかな、と感じました。

孤独をいやす、本の処方箋

さまざまな種類の本があるなかで、木箱の上においてあった封筒が目にとまりました。

本の処方箋。
おくった人のメッセージのかかれた封筒をあけると、中には一冊の絵本が入っていました。

どこか、この私設図書室の理念にも通じる、気づかいがめぐりめぐる、すてきなお話。おいてくださった方が過去に救われた一冊だそうで、ほかにも各スタッフのおすすめ処方箋がところどころ、おかれています。

見守り、つなぐ、ちいさな居場所

お店番をつとめる方の中には、医療や福祉の従事者がいらっしゃるそう。

ふらっと立ち寄ってお茶をしたり、本の貸し借りができたりするだけでなく、ちいさな悩みを話せる「居場所の相談室」を時おり、開いています。

(くわしくはサイトより、開館カレンダーをご確認ください)

医療や福祉の現場には、ひとつの施設や事業所ではすべてをカバーしきれない、という課題があります。

病院で薬は処方できても、その後の居場所にはなかなかなれない。
福祉もおなじで、それぞれきまっている役割に沿ってしか動きづらいところがあると感じています。

でも、見守り声を聞いて、必要なサービスや相談所につなぐことはできる。
お話し好きのスタッフさんからは、孤独がふっと和らぐようなあたたかさを感じました。

なんとなく寂しい、だれかの声が聞きたい、話し相手になってほしい……。

そんな方にそっと手をさしのべる場所が、ここにあります。
もし居場所がない、ちいさな悩みをだれかに聞いてほしい……。
そう思う時があれば、思い出してみてください。

ウェブサイトのごあんない

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