冬の鬼怒川湯西川再訪日記 前編

 前回の日記から中一週間。2月11日。浅草を5時58分に出る区間急行に乗り、南栗橋で急行に乗り継ぎ下今市で降りると、3分後には浅草を6時半に出る特急列車のリバティが追いついてくる。

 一昔前なら6時20分の快速で行けた、というかそれしかなかった時間帯も今は特急に乗るかどうかという選択肢が出来た。そしてその特急も下今市以降は各駅停車となりこの区間のみの乗車であれば特急券なしで乗れてしまうので、しばし座り心地の良い座席を満喫して、一週間前と全く同じ時間にたどり着く。

 まずはここから。一週間の間にそれなりに冬らしくなってくれたおかげでで結構白い。そうそう、こういう感じのを見たかった。

 この時間帯だと向かいの鉄路を結構列車が通過していくことは先週体感したので、

 今度は狙ってこんなのを撮ってしばし遊んだ。廃墟鉄。聞いたことない。いやでも案外いるかもしれない。世界は広い。
 そして、

 鬼怒川公園駅。先週と同じ列車。しかしこの日は祝日ということもあって既に満席。しばしの立ちぼうけ。とはいってもほんの20分。またトンネルの中の駅で降り、目の前の光景は後回しにしてバスに乗る。さっさと降りて当駅始発なやつに乗り込んだので座れはしたけれども、バスもこれまたとんでもない混雑で、こりゃあとんでない時に来てしまったなあと、ここでようやく思い知る。
 しかもせっかく座れたのに誰もが降りる温泉街までは行かず、そのはるか手前でさっさと降りた。

 冬の湯西川ダム。でかい。
 先週食べたダムカレーのモデル。まずはこれを見たかった…… のだけれど、これはいいものだと写真撮って歩いてたらダムの職員の方がやって来て、「すいませーん冬の間はここ立入禁止なんですよー」、と。ただ怒るという感じではなくごめんなさいねという感じで、しかもなぜだかダムカードをくれてまでしてくれて、なんというかちゃんと調べてから来るべきでした、すんませんです。とにかく平謝り。けれど、春になったらまた来てくださいとまで言われてしまった。なんていいひとなのだろう。
 …… ありがとうございました。ごめんなさい。また来ます。必ず。

 いきなりやらかしてしまったけれど、ちょっとダムを見てすぐに折り返す行程だったので、影響は特にない。特にないどころかそこまでは望んでなかったダムカードが何故か手元にある。いいのかこれで…… なんとも言えぬ罪悪感の中バスを待つ。

 やって来たバスはとんでもなく混んでいた。えっとこれ乗れますか? と思わず発してしまうくらいにすし詰めだった。なんとか乗せてもらえたけれど。
 で、またしばし耐えつつバスに揺られ降りた先には……

 冬の五十里ダム。これまたでかい。しかし、とにもかくにも今度は冬季立入禁止とかではないことにほっとした。
 ここは現在なにやら改修作業中で……

 ダムの上にクレーンなんていうなかなな見れないだろうものを見ることが出来た。20分ほどじっくり堪能して再びバスに乗る。

 座れた。

 そして、

 湯西川温泉駅前。ここもまた先週よりだいぶ冬らしい。

 温泉街方面へのバスは乗る人がとにかく沢山で、とうとう二台体制になっていた。けれど、こちらではなくまた戻るほうに乗る。

 さっき湯西川ダムから五十里ダムへと向かう際、駅を過ぎてもまだかなり混んでいたのでどうかなあだったのだけれど、もうこちらはがらがらだった。温泉街からの脱出ラッシュは一段落ついていたようだ。安堵する。そして時刻は丁度昼飯時。次に向かうは、

 先週閉まっていたハイセイコー食堂。
 開いている。やっている。暖簾が下がっている。

 店内。店主の趣味全開。

 \カツカレー/

 実のところ味とかはさして期待してなかったのだけれど、このカレー、ほろほろに煮崩れた肉が絶妙でカツとも良く合い、とても、とてもおいしかった。

 思わずカレーのみでもういっちょと追加してしまうほどに。
 追加ではしれっと付け合せや味噌汁の具が違うとかそんなあたりに心遣いを感じて、心底開いててよかったと思えた。
 これでもう思い残すことは何も…… なくはない、まだだ、まだまだだ。とバスに乗る。

 次の目的地では、まずバス停がお辞儀して出迎えてくれた。

 ……どうしてこうなった。
 思いつつ歩く。

 小網ダム。5分とかからずにたどり着く。野岩鉄道の車窓からも見える、龍王峡の中にある小さなダム。だけれどこのダム自体が遊歩道の一部化してるくらいで常に自由に歩いて渡ることが出来る。

 なのでここではしばし見るだけではなく、ダムを楽しんだ。奥の方まで行くとダム湖の向こうに野岩鉄道の鉄橋が見えるので、

 少し列車が来るのを待ってみたりもして、

 この列車を見送って、それからダムを後にした。

 川治温泉駅

 ホームからさっきまでいたダムが見える。

 あと20cmくらい盛ってもいい気がした。

 電車は少し遅れてやって来た。

(続く)

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