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【読書記録】オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

備忘録として読書記録をつけることにしてみる。
(いつまで続くかは分かりません。)

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

著者 オードリー・タン
出版社 株式会社プレジデント社
発行 2020-12-01
読了 2022-09-08

台湾の若き閣僚、オードリー・タン氏の初の著書。
デジタル担当政務委員として、世界的なパンデミックを引き起こしたCOVID-19の対策に手腕を振るったことが記憶に新しい。

デジタルとAIというタイトルながら、台湾の民主化の歴史、プログラミング思考の育成、自身の生い立ちなど内容は多岐にわたり、読み応え十分。

彼が天才プログラマーであることは間違いないのだけれど、それ以上に深い洞察力と情報収集力、調整役としての才能が伝わってくる。

日本で同じような才能ある若者がいたとして、閣僚に起用されるだろうか?と考えるとあまりイメージがわかない。
タン氏が次々と例をあげているテクノロジーの政治への活用を見ると、台湾が羨ましくなる。

例えば、台湾には政府に直接政策を提案できるプラットフォームがあるそう。
そこでは誰でも、例え未成年でも、生活への課題への解決策のアイデアを提案できる。そして5000名の署名が集まると、政策検討の議題に乗る。
困っている内容がマイノリティの事例であっても、オープンスペースで発言することにより賛同者が集まり、政策として反映される例が多数あるそうだ。

高齢者が圧倒的に多い日本では、選挙に行っても若者の声は届かないと感じる。でもこういう制度があれば、自分たちで何かを変えていけるという大きな自信になる。

請願の内容が科学的な根拠から逸脱していたり、倫理的にセンシティブなケースなど課題はあると思うけれど、技術的には難しくなさそうなこのシステム。日本にもあればなあ。

台湾の教育についても魅力的なシステムが紹介されている。
例えば「デジタル学習パートナー」。
これは、都会に比べて情報や機会の少ない地方の子どもたちのために、都市部の学生が一緒に学習するというもの。

インターネットがこれほど普及した今でも、地方で生活していると得られる情報量は限られていると感じる。
田舎ならではの魅力ももちろんあって、それを享受しながら将来の選択肢を広げることが出来るのは理想的だと思う。

また、5Gなどのデジタルインフラは地方から整えられるそう。
地方の隅々まで整うことにより、オンライン授業もスムーズに行うことができる。
しかも、台湾のオンライン授業は家からそれぞれがつなぐのではなく、少人数のグループをオンラインで繋げるという形らしい。

このパンデミック中に息子がオンライン授業を3-4歳で経験し、この年齢の画面越しでの教育の相性の悪さに鬱々としていた身としては、この方式はとてつもなく羨ましい。

デジタル技術によりざっくざっくと改革を進めているタン氏。
AIの未来像についても共感できる部分が多い。

デジタルネイティブ世代の子を持つ親として、興味深い内容だった。


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