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カラオケを何年、休んでますか?

『カラオケ行こ!』って漫画がありますが、お読みになりましたか?あれ面白いですよね。作者の和山やまさんの漫画は他の作品も本当に面白い。最近の若手ではナンバーワンの実力者かと。

さて、カラオケといえば昨今のコロナブームによってすっかり衰退の一途を辿っているのでしょうか。さて、ではじまりながら疑問形で終わる文章って日本語としておかしな気もしますがとりあえず話を進めます。

わたしの仕事場がある渋谷の街のあちこちに、たけのこのようにニョキニョキ生えていたカラオケボックス。ここのところ営業時間にも関わらず電気が灯っていない店が目立ってきました。

ちょろっと調べてみるとカラオケ市場の規模は19年に比べて20年は半減するそうです(出典:企業概要データベース「COSMOS2」)。21年もはじまって1Qが経過しました。緊急事態宣言は明けたものの、あっという間にマンボウというまんが喫茶みたいな名前の緊急事態宣言弱いバージョンがはじまってしまいました。

カラオケに吹く逆風はとどまるところを知りません。この先の見通しも決して明るくはなさそうです。第一興商(ビッグエコー)は、コシダカHD(まねきねこ)は、鉄人化計画は、パセラはいったいどうなってしまうのか。

♪ ♪ ♪

下手の横好き、という言葉がありますが、わたしにとってのカラオケはまさにそれ。だみ声なうえに声域も狭く、音感もいまひとつ。頼みの綱はリズム感だけなのですが、それでも歌は、というかカラオケは好きです。

生まれてはじめて人前で歌ったのは、幼稚園の頃の「帰ってきたウルトラマン」ですが、もうちょい意識がはっきりしてからのカラオケ原体験は高校生の頃のスナック通い。

近所に父親やその仲間たちが夜な夜な集う『かがり火』というスナックがありました。そこにはこれでもかというぐらい酒ヤケした声のママと、だいたい3年で変わるママのいい人がカウンターで客を切り盛りしていました。

そこでマイクを握ったのが人生初カラオケ。ナンバーは当時ヒットしていた安全地帯の『悲しみにさよなら』。かがり火には3日に1度の割合で通い、レパートリーを着実に増やしていきました。

しかしそんなカラオケ少年も齢18にして上京します。状況が大きく変化し、カラオケなどという貴族の戯れはとんと縁遠くなります。歌を忘れたカナリアは後ろの山に捨てられることなく社会に飛び立ちました。

それから数年。居酒屋の店長になったカナリアは同僚に誘われるままにフィリピンパブに入り浸るようになります。そうなるとあれだ、カラオケだ。ということで数年ぶりにマイクを握ってみると…

(あれ?俺ってこんなに音痴だったっけ…?)

自分が音痴である、ということを自覚すると人はキワモノに走り出します。カラオケにおけるキワモノ、それはコミックソングやアニメソング。これらのジャンルは勢い上等!音程最低!で乗り切れます。

『JODANJODAN』(海援隊)
『ネコニャンニャンニャン』(あのねのね)
『金太の大冒険』(つボイノリオ)
『デビルマンの歌』(十田敬三)
『ガッチャマンの歌』(子門真人)
『バビル2世』(水木一郎)

いい年をしてこのあたりをレパートリーに、西池袋の夜に喉を聞かせていました。

♪ ♪ ♪

そうしてさらに数年後。こんどは西新宿の超高層ビルで働く生活を送っていました。まったくジェットコースターのような人生です。最初の数年は酒の席など夢のまた夢、といった仕事1000%の生活でしたが、いつしか余裕も生まれ気づけば君は1000%を歌えるぐらいの文化水準になりました。

ほどなくしてひさしぶりにマイクを握る機会が訪れます。その会社では年長さんだったので、5歳も10歳も若いメンバーとボックスへ。スナックの頃は分厚い歌本から番号を控えてママにメモを渡すやり方だったのに、カラオケボックスでは鉄人28号の操縦器みたいな機械による検索に。

よし、このあたりが盛り上がるはず!と、おもってリクエストし、イントロから全力でスパークします。すると…

(あれ?なんかみんなポカーンとしてるぞ)

一曲唄い終えたところで完璧にお義理な拍手と白い眼。一方でメンバーたちがリクエストするナンバーはこんなラインナップ。どれひとつ聴いたことない。誰が歌ってるかも知らない。ヤツらだけが異様に盛り上がってる。

『SEASONS』(浜崎あゆみ)
『口笛』(Mr.Children)
『SAMURAI DRIVE』(hitomi)
『空に唄えば』(175R)
『Winter,again』(GLAY)
『BE TOGETHER』(鈴木あみ)

お前ら…そんなにおっさんの歌が嫌なのか…ようし、そっちがその気ならこっちは!と、鼻息荒くがんがんリクエストしたんです。

マッチを!

と、いうことで今回はぼくの独断と偏見で選ぶ、カラオケで歌うとテンションが上がるマッチこと近藤真彦さんの歌ベスト5を勝手にランキングしちゃいます。もういいんだ、周囲から白い目で見られようと、誰も聴いてなくても。あとカップルがイチャイチャしようと。あとエビピラフ追加されようと。

♪ ♪ ♪

第5位:ブルージーンズメモリー

Bメロのコード展開がシビれます。あとイントロは凡庸なんだけどアウトロのギターが泣いてるねぇ。ややスラップ気味のベースラインも渋い。曲間のお喋り「バカヤロー」もマッチらしさが光る佳曲ですね。

第4位:ハイティーン・ブギ

山下達郎ですよ、作曲。ようつべ検索すると達郎が歌うDEMOが拾えるのでぜひそっちも聴いてほしい。お前が望むならツッパリもやめていいぜ、って突っ張り棒のメーカーが聞いたら卒倒しちゃうけど名曲です。

第3位:ギンギラギンにさりげなく

どうしても鶴太郎を想起してしまうのは昭和40年男であれば仕方ないこと。ちなみにマッチといえば「マッチでーす!」というイメージが定着しているが本人は一度も言ったことがなく、全て鶴太郎の影響力です。

第2位:一番野郎

なんでこんな曲が?と思われるかもしれませんが、ぼくは時々猛烈にマッチの歌が歌いたい日があるんです。それが今日で、しかも一番野郎だったわけです。作詞の売野先生は萬年社のコピーライターだったというこぼれ話を添えて歌えばそれはそれでまたひと盛り上がり(しません)。

第1位:ケジメなさい

これはですね、ぼくの最初のお弟子さんである根津くんというトレイルライターがカラオケで常に歌う曲ですね。振り付けもソウルフルな女性コーラスも完璧。「これだ…」というつぶやきまでマッチそのもの。おかげで彼はネッチと呼ばれるまでになりました。

素顔の根津くんはこんな人です。

♪ ♪ ♪

と、いうわけでお送りしましたマッチの名曲の数々。もう書いてるだけで唄いたくなりました。こうなったらマンボウだろうがメカジキだろうが無視無視…という心境にはなかなかなりにくいのも事実です。

みなさん、コロナが明けたら1000人ぐらいでカラオケ行きたいっすね!1000人で「ケジメなさい」振り付きで歌ったらどれだけ楽しいことか。

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