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ビールの海で溺れたい

勉強以外は手が早かったぼくは、飲酒喫煙ともに中2からキャリアをスタート(時効成立)。そのうち喫煙はキャメルを一日3箱吸っていたのですが、キッパリやめることができました。しかし酒はやめらんねえ。

18歳から25歳まではあまり飲めませんでした。理由は18歳から22歳までが貧乏だったから。22歳から25歳まではそれに加えて超忙しかったから。貧乏暇なしとはよくいったものです。

25歳で居酒屋の店長になってからは毎晩、休肝日ナシ。その後30歳でネットベンチャーに入社してから3年ぐらいの間、これまた猛烈な忙しさで飲めなくなりました。当時の上司とふたりでよく「歳とったら夕方ぐらいから薄〜いグラスでビール飲めるようになりたいっすよね」とかなんとか。

でもその会社が上場して、メンバーが増えて、となんだか出世(?)の階段を登っていくうちに飲酒の日々が戻ってきます。ストレスのたまり方と肝臓に脂肪がたまるのは正比例するんですね。そして51歳の現在まで、ほぼ365日飲んでおる次第であります。

そしてその中心にいつもあるのが、ビール。ぼくにとってのキングオブ酒は37年前からずっと変わらずビールです。こうやって「ビール」とタイプしているだけで、もうなんとなく喉が乾いてくる。ビールに手を伸ばしたくなる。アル依症?そうですね、れっきとしたアル中っすね。

そんなぼくが極私的に思い出深い昭和のビールを紹介します!ときはバブルのあたり。ビールメーカーはこぞって新銘柄を打ち出します。景気が良かったせいか、これでもか、これでもか、と百花繚乱。味もパッケージもコンセプトも面白いビールがたくさんありました。

サントリー『ビアヌーボー』

ヌーボー、という言葉が流行ったときあったんです。ボジョレー・ヌーボーから来たんだと思うんですが。それをサクッとヨコテン。まあヌーボーというのは名詞ではないのでおとがめなしですよね。

1991年の製品です。特徴はなんといってもパッケージデザイン。中身は獲れたてホップを使った(それがヌーボーである根拠)らしいのですが、当時のぼくはそれを味わう舌を持っていませんでした。いまも持っていません。

パッケージは手書き風のイラストで、ヘタウマというかなんというか。一説にはケン・ドーンの手によるものらしいですが真偽のほどはいかに。。

興味のある方はググって画像見てみてください。

キリン『ゴールデンビター』

これはぼくが六本木のアウシュビッツと呼ばれたコピーブティックに収容されたばかりの頃、リリースされたビールです。なぜそんなことを覚えているかというと、このCMが事務所内でなぜか流行したから。

最後のカットで根津甚八さんが「ヨシッ!」ってやるんですが、それをボスがおもしろがってしょっちゅうマネしてたんです。そしてボスいわく「こういう仕事があるからコピーライターっておいしんだよな」と笑っていました。確かに原稿用紙に「ヨシッ!」って書くだけで百万円とかもらえたら、それは夢の仕事だし、ぼくが目指していたのもそれでした。バカですね。

ちなみに山下達郎さんの『アトムの子』いま聴いても名曲です。

アサヒ『ワイルドビート』

緑色のパッケージのビール、といえば多くの麦酒党は『キリンハートランド』を思い浮かべるでしょう。しかしぼくはちょっとちがう。圧倒的にこのワイルドビートを推すのであります。なぜか。なんてったってコンセプトが「強くて、深い」ビールなのだから。

つまり、重たい味のビールなんです。当時のアホな舌のぼくにとっても、ワイルドビートは重かった。当時、キリン『ファインピルスナー』が好きだったぼくは「アサヒはなんでこんなビール出したんだろう…」と首をかしげながらも、3本に1本ぐらいは面白がって飲んでました。

いま調べたらコマーシャルは岩城滉一だって。覚えてないなあ。

サッポロ『ハーディ』

お前ンとこは黙って黒ラベルだけ作っておけばいいんだよ!と往年のサッポロ党は言いそう。それぐらい黒ラベル信仰者というものは頑固なのであります。

ぼくが居酒屋店長やってたとき、最初ビールは黒ラベル一択だったんですがサントリーの営業さんに押し切られてモルツをいれるようになったんですね。そうしたらそれまで黙ってた黒ラベル党がうるさいことうるさいこと。「兄ちゃん、モルツだけにしたらこの店潰してやるからな」とまで言われたものです。おおこわ。

それほど愛されている黒ラベルというエバーグリーンがありながら、なぜそんなチャレンジを、というのがこの『ハーディ』。

「キレてキレてキレまくる」というキャッチコピーで派手派手しくデビューしたのはいいが、キレすぎてなんとも薄っぺらい、金属みたいな味がしました。TVCFは当時『リゲイン』などで名声を得ていた黒田秀樹さんでした。

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と、いうことで日本の4大ビールメーカーが過去に出した、ちょっと変わった、あんまり売れなかったけどなぜか記憶に残っている銘柄を紹介しました。最近は猫も杓子も発泡酒だの第三のビールだの…この子のセリフではありませんが

ビール党にとっては「嘆かわしい〜」市況となっております。が、一方でクラフトビールが盛り上がっていたり、と嬉しいムーブメントも。大手メーカーさんもソロバンばっかり弾いてないで、おもしろい商品開発にもっと力を入れてほしいものです。

BGMは高橋ユキヒロさんの『Volare』でした。

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