ふだんめったに使わない言葉たち
またたかしちゃんがやりよりましたね。
みなさんぜひ脳内でねばっこい名古屋弁に変換して下記をお読みください。
「元気にみんなでいっぱい飲んで、カラオケを歌って、自然免疫をきちっと作るということは基本的な方法だろうと思いますけどね」
気さくな74歳(笑)河村たかし名古屋市長の新型コロナ対策についての発言です。
たかしちゃんといえばもともと“喋るホワイトガソリン”、“ミスターチャッカマン”などの異名をとる(ぼくの中で、ですけど)ほど炎上体質で有名ですが、今回もまたもや燃え上がっております。
市が「あくまで市長個人の意見であり引き続き大人数の会食は控え、感染対策の徹底を」と反論したんですけど「私だけでゃにゃあで学者も言っとるんですよ」とさらに反論で対抗。
そこに「あれは昭和の発言だで、流石に良くない」「それはいかんて、もうあの人が市長なの反対!」もあれば「私はええと思うよ」とか「河村市長のキャラあっての名古屋だもんで、好きですよ」という擁護派も。
名古屋はいったいどうなるんでしょう。
ぼくはたかしちゃん、嫌いじゃないですけど。
話はガラっと変わりますが
たかしちゃんのようにフレーズ全体がおかしなことになっている、というわけではないにせよ、ふだん使わない単語を日常会話に挿入するとインパクト抜群になるのをご存知ですか?
正確にいうと、映画やテレビドラマ、小説、漫画などの登場人物が口にする言葉。これを日常生活に持ってくる。すると、ちょっと変な空気が漂いません?
ぼくは漂います。
ぼくは漂いますって変な日本語ですが。
たぶん言葉には摩擦係数というものがあって。この摩擦係数がヴァーチャルな世界では限りなくゼロに近いもんだから滑りがいい。だけどリアルな世界では逆に数値が高くてやたらひっかかる。そういうことなんじゃないかと。
取材班は検証のため、ふだんめったに使わないけど架空の社会ではノールックで使われている言葉をピックアップしてみることにした。
まさか
俺ね、聞いたことないんですよ。日常生活の中で「まさか」って。まさかってふだんづかいする人、います?
まさか、ですよね。
そう「まさか」は文字にする分にはいいんです。心のつぶやきとしても機能します。
だけど、ふだんの会話で「まさか」っていう人、あんまりいないんじゃないかなあ。だってまさかですよ。それを口にするときの表情は、かなりシリアスじゃないと。そしてそんなシリアスな表情することって、この平和な日本であるのかしら。
「あれぇ?財布がない…」
「え?よく探した?」
「うん、どこにもないんだよね」
「ラーメン屋に忘れてきたんじゃないの?」
「まさか…」
言うか?言うかな?うーん、どうだろう。
やっぱり心の中でつぶやくものではないでしょうか。
さては
これも言わないよね「さては」。だいたい使う場面ってどこなのよ「さては」の。
そもそもどんな意味だっけ「さては」って。お得意の岩波国語辞典第三版で調べてみます。
なるほど!まず①の使い方をあまり認識していなかった。さては南京玉すだれ、みたいなものなのかな。
あくまでぼくの中では「さては」は②一択でした。そして「それではきっと」なんですね、正式な意味としては。
この令和の時代「さては」を日常生活で耳にすることはおそらくほとんどないのではないか。あるとしたらものすごく大げさな感じになりますよね。なくても全体の意図は伝わる言葉…なんだか不憫です。
さては略されてるんじゃないでしょうか。なんちゃって。
まてよ
これは少しアレンジを加えられた上で一部キムタク方面で使われますよね。チョをつける。そしてカタカナにする。チョマテヨの完成です。
あるいはむりやり口づけをしようとしたらビンタをくれたあげく泣きながら走り去っていく女の子(男の子でも良い)を引き止めるときには使いますよね、まてよ!って。
だけどたとえばふつうの温度でフラットに会話しているとき「まてよ」を使うかというと、あんまり使わないんじゃないかな。
Twitter界隈でスラングっぽく使われる言葉として「待って」はありますよね。待ってこれ手震えるんだけど、最近では「待って震える」まで進化してます。キンプリ構文として有名です。
しかしやはりリアルライフで「まてよ」は使いにくい。どうもこれも時代がかったといいますか、演じてる感、出ちゃいますもん。
「ハヤカワさん、これ昨日も食べましたよね」
「え?そうでしたっけ?」
「食べましたよ食べましたよ」
「あれ?昨日どこでランチしましたっけ?」
「昨日は…まてよ」
ううーん、まてよ、という時は下顎に手を添えるのがお似合いだしそんな人現実であんま見たことないし。そう思いません?
ちょこざいな
ここまで紹介した「まさか」「さては」「まてよ」は百歩譲って使う人がいたとしてもいいとしましょう。ぼくはもともと主張が強いわけでもありません。長いものに巻かれやすいし、サラリーマン適性の高いイエスマン。いわゆる声の大きな人の意見にあわせて三味線を弾くタイプです。
しかし。
そんなぼくでもこれは譲れない。
それが「ちょこざいな」です。
なんですかちょこざいなって。
どこで切れるの?ちょこざ・いな?それともちょ・こざいな?考えれば考えるほどもやもやするので岩波国語辞典第三版に助けを求めます。
するとですね、ちょこざいな、という単語では載ってなくて。ちょこ、でした。
なるほど、ちょこざい+な、だったんですね。
ってそんなことがわかったところでこの問題は解決しません。みなさん、日々の暮らしの中で「ちょこざいな」という言葉を発したことはありますか?あるいは口にしている人を見たことはあるでしょうか。
しかし映画やドラマ、漫画の世界では普通に起きている。
「ぬぉぉぉ~ちょこざいな~」
みたいな叫び。鬼滅関係でよく見られますよね。
あと昭和40年代生まれに懐かしく刷り込まれている…
「ちょこざいな、名を名乗れぃ」
「赤胴!鈴ノ助だい!」
このやりとりからもわかるのですが、だいたいちょこざいなユーザーってのは悪党・悪漢の類だよね。だからもし日常会話で「なんだとちょこざいな」なんて口にしようものなら、あなたはその瞬間から大戸屋、じゃなくて越後屋になってしまうのです。
だから使われないんですね(たぶん違う)。
もうなんとなくうっすら気がつかれた方も少なくないと思いますが、この話に特にオチはありません。じゃあ前回のnoteはきちんとオチたのかよ、と言われるとまったくそのつもりもなく自信もございません。すみません。
あ、今年の目標はむやみやたらとあやまらない、だったのに。もう自分からあやまってる。性格というのは一朝一夕で直るものではありませんね。ましてや正月みたいな浮ついた時に立てる目標なんてなかなか達成できないものだったりします。
とかなんとか言っているうちにもう1月も最終週を迎えます。今年も残すところ11ヶ月。年末を迎える頃にはもう少しまともなnoteが書けるようになっていたいなあ、なんて思ったりして。引き続きよろしくお願いします。
ご愛読ありがとうございました。
あ、マガジンのタイトル「ご愛読ありがとうございました」だったけど「引き続きよろしくお願いします」に変えちゃおうっと。
引き続きよろしくお願いします。
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