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よその犬の名前が覚えられない

こどものいないぼくは、飼っている犬を溺愛しています。猫かわいがりという言葉があるのに、どうして犬かわいがりはないのだろうか。あったっていいじゃないか、だれか損するわけでもあるまいし。そんなことをぼんやりと考えて毎日を過ごしています。

ところが愛犬家なのか、と問われると、はて、どうだろうか。

自分の家で犬を飼うまでは、比較的愛犬家のような人だと自認していました。しかし実際にマイドッグが家族の一員になると、彼(オスです)以外の犬にはとんと興味がわきません。

どれぐらい興味がわかないか、というと、名前が覚えられない。

犬を飼っている人であればわかると思いますが、朝、散歩のために公園にでかけます。するとどこからともなく犬を連れた人がやってくる。当然ですね。彼らもまた、自分の犬の散歩に出かけてきているのです。

毎日のことですから、自然と顔なじみになる。気づけば「おはようございます」ぐらいの挨拶は交わすようになる。そのうちの何人かとは(特に犬同士の相性がいい場合)犬の話を中心に会話をするようになります。

すると必ず交換される情報として「犬の名前」と「年齢」があるわけです。

これが覚えられない。

「なんて名前ですか?」
「ペスです」
「ペスちゃん、おおペスちゃんかわいいね」

そこまではいいのですが「ありがとうございますー」(犬の飼主同士は必ず最後にありがとうございますと言う。全国共通なのだろうか)とその場を離れて3分もしないうちに

「はて…なんて名前だっけ?」

と、頭の中でさっき聞いた名前に濃いめの網がかかるんです。

名前でこれですから年齢なんて、と思うでしょう?ところがなぜか年齢はこれがしっかりと覚えているものなんです。不思議ですよね。4歳の子は4歳。7歳の子は7歳。はっきりと認識できるし、次にあったときもその話題なら大丈夫。

つまり、よそんちの犬の名前だけが、覚えられないのです。

すごい解決法をみつけた

しかしぼくもそんな状況をただ指をくわえて見ている(この場合は見ているというよりも実際に困っている)わけではありません。

ベンチャー企業の行動指針の中に「できないではなく、どうやればできるかを考えよ」みたいなフレーズがありますよね。エンジニアが聞いたら秒で退職してしまいそうな精神論。

まああれは思考停止するなよ、否定する時はせめて代案を出せよ、という正しい社会人なら当たり前の考え方を営業会社フレーバーで言い換えただけのお題目なんですけど。

しかし意外にもぼくの中にこの考え方は染み付いていて。

この状況をなんとか打破しよう。よその家の犬の名前が覚えられない、ではなくてどうすれば覚えられるか考えました。

そしてその答えは以外と身近にありました。

灯台下暗し、という言葉があります。

東大素暮らし、と誤認している友人がいました。どういう意味でしょうか、素暮らしって。無料?東大じゃなくて灯台ならまだわかる。行き倒れが住み着いちゃう、みたいな。でも東大はなあ。最高学府だからなあ。

そんなことばかり考えているぼくですが、犬の散歩のときはiPhoneを持っています。アプリの万歩計を見るのを楽しみにしているからです。散歩のおかげで多い日は12,000歩、少ない日でも8,000歩は稼げます。この数値を見て「ウホホ」と喜んでいるのです。

そのiPhoneにソリューションを見出した。

「そうだ、名前を聞いたら忘れないうちにメモ帳アプリに書けばいいんだ!」

ぼくは文明の利器の勝利を確信しました。

以来、犬の名前を聞いて「ありがとうございますー」したら忘れないうちにメモ帳アプリに書き込むようになりました。

「ペス」「グーちゃん」「りんちゃん」「ノースくん」「エールくん」「ゴンちゃん」「ベル」「トト」「ペロ」「太郎」「ムギ」「きなこ」「パンチ」「ドン」「ニコ」「パンちゃん」「ころ」「大将」「カンタ」「ベリーちゃん」「キャム」「りょう」「シロ」「クロ」「キング」「レオ」「そら」「リク」「ショコラ」「大福」「ココ」「マロン」「まる」「ノア」「サブロー」「タケ」「オム」「ポッド」「ラン」「しょう」「モグ」「りんたろう」「ソラ」「マーブル」「殿」「うめ」「テン」「チャーリー」「ぶう」「もも」「レオン」「こてつ」……

その結果、いまではすっかりどれがどの犬の名前かわからなくなりました。

ぼくはどうすればいいのでしょうか。

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