見出し画像

夏の純米酒 2021

日本酒が好きです。

いちばん好きな酒は、と聞かれたらビール!と即答するのですが。その次に好きなのが日本酒。とりわけ純米酒に目がありません。次がウィスキーで、以下ワイン、サワー類と続きます。

クルマに乗らない休日は、昼からでも呑みます。

クルマに乗る休日もできるだけ早い時間にハンドル握る用事を済ませ、できるかぎり陽の高い時間から速やかにお酒を口にします。

365日で呑まない日というと、ほぼないです。

今年はモデルナワクチン2回目接種した翌日、高熱に見舞われてさすがに呑みませんでしたが、それ以外は休肝日はありません。いけないこととはわかっていますが、呑まないことには一日が終わらない。

父親は「酒さえ呑まなければ蔵が建つ」と地元にその名を轟かせた男なのでその血をひいているのでしょう。

そんなぼくはこの夏もさまざまな日本酒を呑みました。今回はその中から特に美味しかった純米酒をよりすぐってご紹介しましょう。

なんのために?

日本酒が好きだからです。

天美 TENBI 特別純米/長州酒造(山口県)

画像1

トップバッターは山口県下関で長らく酒造りをやめていた酒蔵が満を持して世に問う逸品、天美の特別純米です。

ぼくは酒は好きですがあまり薀蓄を楽しむタイプではなく、ただひたすら味を追求するので、上記のようなバックボーンについてはまったく知らない状態で購入。どちらかというとジャケ買いのノリで手を出しました。

とはいえ、いつもジャケ買いではあまりいい成果をあげられていなかったので期待値さほど高くない状態で一口。

……う、うまい!!!

角の取れた呑み口、ほんの少し感じる新鮮な酸味。いやらしくない甘み。飲みやすいです。食中酒にぴったりかな。お刺身よりもかぼちゃ煮などの味がハッキリした料理に合うと思いました。

雨後の月 超辛口 特別純米/相原酒造(広島県)

画像2

超辛口、と銘打った日本酒ってたくさんありますが、そもそもお米からつくられるお酒が本質的に辛くなることってないんですよね。で、代わりに求められるのがキレのよさ。これをみんな辛いか辛くないかの基準にしているんじゃないか。

その点でいくとこの雨後の月 超辛口 特別純米はキレますよ~!キレッキレ。しかも後味もサスティンがゼロ。サッと消えます。ただ淡麗ではないですね。薫麗?そんな言葉ないか。でもあえてあてるとすればそんな感じ。

旨口かつキレがいいので、こちらも食中酒にピッタリです。料理を特に選ばないところもいいです。魚はもちろん、野菜やお肉にも合うし、唐揚げやラザニア(!?)なんかと合わせても旨い。でもワインとは違う。

ああ、書いててまた呑みたくなった。そんなリピ必至の銘柄です。

奥能登の白菊 特別純米酒/白藤酒造店(石川県)

画像3

夏はさすがにやりませんが、秋から冬にかけてはお燗をつけるのも好きです。この奥能登の白菊特別純米酒は、今回は冷ですがお燗をつけても美味しくいただけると評判の銘柄です。

ぼくのお酒の好みがそうなので、比較的似た味わいばかりになるのですが、これも料理の邪魔をしないすっきりとした舌触り。もし日本酒によくないイメージを持っている女の子(これは間違いなく女の子!)がいたら、このあたりから再スタートを切ってくれれば…と切に願います。

しかもこれはめちゃくちゃ辛口ってわけでなく、適度な旨味もあるので、初心者の食前~食中酒にうってつけです。ただおしむらくはラベルが渋好みってとこかな。いやおれは好きなんですけど。最近、ヤング狙いでモダンなラベルのお酒が増えているので、なかなか手を出しにくいのかもと。

あえてそのなかでこれを、と手にとる日本酒ガールがいたらリスペクトしちゃいますけどね。

車坂 魚に合う吟醸酒/吉村秀雄商店(和歌山県)

画像4

日本酒といえば魚、という基本路線をはずさずひた走るぼく。ある日、いつもお世話になっている伊勢五商店の冷蔵ショーケースに「魚に合う吟醸酒」と明記されているお酒をみつけました。

吟醸はどうもあの、甘ったるい吟醸香がいまひとつ好きになれないので避けるところですが、ここまで明確にコンセプトを言語化している銘柄も珍しいなとおもい、手にとってみました。

ラベルには魚へんの漢字がずらり。お魚の名前ですね。お寿司屋さんの湯呑かと。よおし、そこまで魚に合うと自負するのであれば受けて立とうじゃありませんか。

白身を中心に、赤身、薄造りなど醤油と塩で楽しむお刺身を用意して、さあ、乾杯。すると…吟醸ならではの香りはありつつも、たしかに合うではありませんか。

吟醸香がしっかりと主張しつつも、淡泊な白身の薄造りの邪魔をしない。量はそんなに呑めないけど、キャッチコピーに偽りなしの名酒でした。

乾坤一 OVER THE RAINBOW/大沼酒造店(宮城)

画像5

これこれ、こういうの。こういうラベル。いわゆる『ザ・日本酒!』みたいなラベルもいいんだけど、ちょいと見飽きてしまうというか。たまにはモダンな、かっちょいい、ステキな面構えの酒も呑んでみたいよ、と思うわけです。

なので、この手のラベルのお酒がショーケースの中にあると、必ず手を出してしまいます。

でもですね、戦績は芳しくないのよ。だいたい3回に1回ね、あたりを引くの。あとは、一口呑んだ後にラベルを見返すと「お前ぜったいに見掛け倒しだ!」と詰りたくなるお酒ばかり。

しかし!この『OVER THE RAINBOW』はアレですよ。出自が違うからね。なんたってあの不朽の銘酒、乾坤一がお父さんなわけですから。乾坤一ったらもうおれは、ぼくなんて甘っちょろいことはいってられないほどいい酒。

さあ、一口ぐびっと。最初の呑み口は、ラムネです。え?ラムネって甘ったるくないの?と思われたかもしれません。たしかに甘みが来る。ただし最初の舌ざわりだけ。バシッと切れてさわやかな旨味がやってきます。そしてスッキリとした後味。おれ、もうこの夏のナンバーワンを差し上げてもいいんじゃないかとおもう。本気で。

夏雲 出雲富士 特別純米/富士酒造(島根県)

画像6

出雲富士が夏限定で出した特別純米、無濾過生。ぼくはふだん、あまり生は好みません。無濾過も好きじゃないかも。でもこの『夏雲』は美味しい。食事というよりも、チーズやスナックなどの軽いおつまみにあいます。

なんならこれ単体で呑み続けられる。食前酒にしてはちょっと丸みが勝つかんじだから、食後酒がいいんじゃないかな。ビールではじめて、食事と一緒に淡麗辛口を楽しんで、さて、おひらき…にするにはちと寂しい。

もうちょっと呑みたいよぉ…いいじゃんかもうちょっとだけ…と、いうようなシチュエーションで実力をいかんなく発揮するお酒だとおもいます。だからいっきになくなることはない。

うちの冷蔵庫でもこの夏、最後まで残っていました。おいしいけど、最後まで残る。なかなかない個性あふれるお酒なんです。

出番は少ないかもしれない。でもこのさわやかなラベルを眺めながらチビチビと呑ってるだけで、いい気分になれるんですよね。

山本 純米吟醸 ドキドキ/山本酒造(秋田県)

画像7

山本は大変興味深い酒蔵です。いつも攻めてる。いつもチャレンジしてる。毎年いっぷう変わった、それでいて傑作級に旨い酒を造り続けています。有名なところだと『山本ピュアブラック』『山本ミッドナイトブルー』『山本サンシャインイエロー』『白瀑ど辛』キリがないですね。

そんな山本が2021年夏、世にはなった傑作銘酒がこちら『ドキドキ』です。なぜ『ドキドキ』なのか。それは山本社長にとっての夏のイメージだから。特に深い意味はないそうです。

そして味は…純吟なのにキレッキレ。キンキンに冷やしてキューッといけます。これはヤバい。夕方から呑みたい。まだ陽の高いうちから、蝉しぐれかなんかをBGMに。つまみはキュウリとチーズでいい。ポテトサラダがあるとうれしい。

ああ…ドキドキしてきた。確かに夏のイメージだ。これだから山本はやめられないんです。山本、大好きです。

賀茂金秀 辛口夏純/金光酒造(広島県)

画像8

2021夏の酒、トリを務めますのは広島の銘酒『賀茂金秀』がお送りするその名も「辛口夏純」です!ストレートなタイトル!シンプルなラベル!レガシーなデザインからモダンへと舵を切りきれないあたりに不器用だが確かな腕を感じるのはぼくが酔っ払っているからではないでしょう。

これはね、軽い。めちゃくちゃ軽い呑み口です。うすはりのグラスでクィーっといきたいね。肴も味の濃いものより、あっさりした味付けのほうがお互いの旨さを引き立てるとおもいます。

ためしていちばん合うのは豆腐ですね。冷奴。絹でね。木綿より絹ね。そこにオクラと梅を叩いて鰹節を混ぜたものをかけていただくと。辛口夏純がいいアクセントとなることうけあいです。

軽やかな酸味と旨味、ちょっと後味が残る。絶妙なバランスがついもう一口、もう一杯とアル依症への道に誘う。蒸し暑い夏の夜にぜひ。

■ ■ ■

いやあ、この夏も呑んだ呑んだ。ここで紹介しきれなかったけど、何本呑んだんだっけ。お酒が入ると極端に記憶装置が機能低下するので、覚えていないんですよね。

覚えているだけでも銘柄を書いておきますね。『山本サンシャインイエロー』『富久長 ひやおろし純米 秋桜』『松潤』『澤屋まつもと』『鳴海』…紹介するまでもなく『田中六五』『山形正宗』『王禄』はマストドリンキンでした。

お酒の味は人によって感じ方が著しく変わるので、なかなか正確な呑みレポというのは難しいのですが、ぼくが紹介するお酒のすべてに共通しているのは『スッキリと飲みやすい』です。

その点にかけては自信がありますので、もし飲みやすいお酒を…と思ったならぜひこれらの銘柄を試してみてください。

さあ、9月も呑むか!

【ぼくがお酒を買うお店】
■伊勢五本店
https://isego.net/
■鈴木三河屋
https://mikawa-ya.co.jp/
■朝日屋酒店
http://asahiyasaketen.sakura.ne.jp/
いつもおせわになってます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?