2023年の4月を振り返る
2023年の4月は、それはそれはメンタル的にしんどい一ヶ月でした。忙しく充実していた日々ではあったものの、どんよりと、心の底から笑えることのない時間の積み重ね。振り返るのも怠いんですが、やりましょう。
癖のない文章を書いたか
先月の振り返りで、どうも自分にはコピーライター時代に身に着けた癖が文章全体に染み付いていて、有識者や広報担当者からたくさんの赤(修正)をいただくようだ、とわかりました。
それで4月は極力癖のない文章を書くよう、こころがけました。
あ、もちろん依頼されて書く文章のことであって、noteは対象外です。noteぐらいは勝手に書かせてもらおうとおもっています。
具体的には文章の止めですね。です・ます、だ・である、体言止め、終助詞などを混ぜるなキケンとばかりに統一しました。ですます調であれば終始一貫してですます。それ以外の場合も同様に。
いまのところ目にみえて赤が減ったかというと、よくわかりません。ただ、書き手としての実感は「ずいぶんすっきりしたな」です。どことなく客観性が増したというか、シュッとしたというか。
さてこれが凶とでるか吉とでるか。
いずれにしても手癖を排する技術を入手できるのは職業上プラスでしかないので今後も継続して取り組んでいきます。
編集者とのセッション体験
ある企業の対談記事を作る過程で、すごく質の高い赤入れ体験をしました。なんというか、こう、言い回しや表現に細かく注文を入れるのではなく、自分が書いた文章をベースにさらに良いものへとアレンジする、というヤツ。
ブラッシュアップではなく、アレンジ。そもそもぼくの書いた文章は跡形もなくなります(全部ではないです、部分的に)。しかも対談ではそんな話も言葉もいっさい出ていなかったりします。
だけど、結果として意図がよりよく伝わるようになっている。
過去にいただいたどの赤字、どの修正よりも、気持ち良かった。ほんと、負け惜しみとか自虐とかじゃなくて、快感でした。
自分の書いた文章に上からさらにいい文章が載っている気持ちのよさ。なるほど、こうなるか。確かにこのほうがいいな。おお、こうきたか。高まっていく感じがスリリングでエキサイティングでした。おもしろかった。
ジャズに例えるなら、セッションみたいな感じ?すみません、先月BLUE GIANT観たものですっかりかぶれてます。
こちらその対談記事です。ちょっと長尺ですがもしご興味があればご高覧ください。
ラジオで泣いた日
3月31日(金)23:00からTOKYO FMで放送された、高橋幸宏さんを偲ぶラジオ番組をお聴きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ぼくは4月1日の夜、radikoで聴きました。
『特別番組 サラヴァ、高橋幸宏〜感謝を込めて音楽を』と題されたこの番組。パーソナリティをつとめるのは坂本美雨さん。全体の構成は高橋幸宏さんとゆかりのあったミュージシャンやフォトグラファーが思い出の一曲とともに幸宏さんとのエピソードを語るというものです。
また局に残されていた80年代に幸宏さんが担当した番組の音源を紹介し、在りし日の幸宏さんの人柄に思いを馳せるコーナーもありました。
個人的にはお兄さんの高橋信之さんのコメントがグッときました。ノブさんはTwitterでも幸宏さんの思い出を綴ってくださる貴重な歴史の証人。曲紹介の最後に番組から「兄として弟、高橋幸宏にいま贈りたい言葉はなんでしょうか?」という質問が。
これに対してノブさんは「うわーっ…それはちょっとつらいなぁ」と言ったきり数秒、絶句します。涙されていたのかもしれません。
何をいったらいいかわかんないですね、といいつつ、遺影にむかって毎朝お水をあげて挨拶している、というくだりを紹介してくれました。
言いたいことはひとつではなくて、山ほどある。だけど、
「幸宏おはよう、と言っている。それに対して幸宏はノブさんおはよう、と言ってくれている。それでもう全部、済だなと思っています」
このくだりでもらい泣き寸前でした。
ところが、番組最後に登場ゲストがひとりずつ名を名乗り、過去の番組の音源から幸宏さんが自分の名前を語った次の瞬間
坂本美雨さんの「ユキヒロさん!」と明るく伸びやかな声での呼びかけに続いたのは…
You Tubeに番組音源がアップされているので、ぜひ聴いてほしいです。
ラジオを聴きながらぼろぼろ泣いたのは人生ではじめてでした。
追悼 坂本龍一
これはもう
言葉はないですね。
2センテンス目だけになってしまいました。
こう見えて小学生の頃からかなり熱心なリスナーです。ベスト3曲は?と聞かれたら『PLASTIC BAMBOO』『肯定』『Blu』と即答するぐらい。
いいようのない虚無感に包まれています。
妻に「泣いた?」と聞かれました。「泣いてるよ、ずっと泣いている」と答えました。
生きることについて考えました。
人生の残りの時間についても考えました。
教授は最後までぼくにとっての教授でした。ありがとうございました。
シン・仮面ライダーに救われる
小学生以来のヒーローを亡くして落ち込んでいたら、3歳からのヒーローが救ってくれました。
「時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る」
これは原作者の石ノ森章太郎さんの名言です。
今回のシン・仮面ライダー(以下、シンカメ)は日本オタク界の重鎮、庵野秀明さんが脚本・監督を務めるということで、公開前および公開直後からかなりの評判。もちろん賛否両論で、どちらかというと否定的な声のほうが大きかったかな。
だけどそんなのはどうでもいい。
とにかくなんとなくぼんやりと、虚無感に苛まれていたぼくがふらっと一人で入ったTOHOシネマズ。冒頭の変身シーンで一気に目が醒めました。
懐かしい。新しい。そしてなによりカッチョいい!!!
弱さを見せる本郷猛、いい!
クールなルリ子さん、いい!
背の高い一文字隼人、いい!
サイクロン号もカッコいい!
泣いたよ。ああ泣いたさ。
いろんなシーンで泣いた。
BLUE GIANTでも泣かなかった俺だけど、シンカメではしっかり泣いた。
そんな俺を厨二中年と笑わば笑え。
映画館を出たときにはちょっと元気になっていました。シンカメから活力をもらった。
いやあ、映画っていいですね。ヒーローものっていいですね。特撮ってガガガですよね。
「時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る」
庵野カントク、このタイミングで蘇らせてくれてありがとうございました。
と、いうことで、仕事面はたいへん忙しく、また質的な面でも成長が実感できて充実した一ヶ月でしたが、ユキヒロさんのラジオで泣いた次の日に教授の訃報があり、とても凹んでしまった時期でもありました。
こんなに凹むものなんですね。
自分でも驚きました。
そういうところが俺にもあるのか、と。
最後に細野晴臣さんの番組『Daisy Holiday!』(インターFM)でのコメントを引用して振り返りを終わりたいとおもいます。
終わりたいとおもいます。とか言っておきながらもうひとつ。
シン・仮面ライダーだけでなく、4月19日にリリースされたiriの『Season』からもずいぶん元気をもらいました。これからの季節にぴったりのポジティブなナンバーです。
このぐらいの年代の、こういうスタイルの女の子が「どうやらそれほど悪くないこの世界は」と歌ってくれることに、ぼくのような初期高齢者は「そうか、そうかもな」と納得したり、勇気づけられたりします。
ちなみに教授は生前「音楽の力」という言葉を忌み嫌っていました。
だけどこれはあくまで音楽家側の意見であり、メディアにおける言葉の乱用に対する苦言。ぼくたち受け手としては存分に音楽の力で癒やされたり、勇気づけられたりしていいのだ、と認識しています。
そうですよね、教授!
5月がはじまります。どうかみなさまにとってよい月でありますように。
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