減量体験記23 小旅行
09年8月中旬、病気になって以来、初めて旅行しました。
電車で函館から父親の実家(秋田)に行き、お盆の墓参。その後、夜行バスで東京入りし、友達のイベントへ。そして新幹線で帰宅。全部含めて4日間という強行スケジュール。
父の実家は農家です。
祖父の後を継いだ長男(父の兄・僕の伯父)は、僕の名前を決めてくれた人です。入院中は、弱った自分を見せまいとしてか、家族以外のお見舞いを拒み続けました。家族は退院後に備え、家をバリアフリーにリフォーム。その工事の最中、完成を見ることなく鬼籍に入りました。それがこの小旅行の、数年前。
早朝の澄んだ空気と青い空。
一面に広がり、これから金に輝く気配をたたえた稲穂の海。
太陽と地球の距離が縮まったとすら思える強い陽射し。
幼い頃、伯父の運転するトラクターに乗って揺られた砂利道。
改築後も所々に昔の姿を残した母屋。
思春期真っ只中を過ごす、従兄の娘たちと見た花火。
農業は勿論、政治・経済・芸術・哲学・文学……伯父が読んでいた多くの書籍。
秋田で過ごしたあの時の気持ちを言葉に表すことは、簡単ではない気がします。
ただ、肩肘を張ることなく、ごく自然に
「少しずつでも前進していこう」
と思えたことは確かです。
***
あのころから、僕はどれだけ前に進めたんだろう。
この文章を読むと、原点にかえることができます。
(記 2019/03/05)
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