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子どもに関わる全ての人に届けたい『子どもは賢い〜オープンマイク編〜』7月のライブトークからのメッセージ

こんにちは。

バンクーバーメンバーの石本さゆりです。

白山ウォルドルフコミュニティを正式に去年4月にスタートして以来、たくさんの出会いがありました。

『にじと白山・まなびの庭』では、Zoomを通して、数年前には考えられなかった、海を超えたイベント活動や勉強会が可能になり、日本のシュタイナー教育現場で培ってきた経験を持つ先生たち、そして学びたいと参加してくれるたくさんの参加者さんと出会い、そこから私自身、新しく多くの学びを得ています。

なんと豊かなことでしょうか!
幸せってこういう時に感じるものですね。

先日行われた7月のライブトークでも、30年以上、幼児教育現場でシュタイナー教育を実践されてきた角口さかえさんをゲストとしてお迎えし、学びを深めました。

角口さんは、石川県七尾市生まれ。北陸つながりが嬉しい♪
そんな角口さんとの1時間のライブトークでの生の学びを再現することは難しいですが、ここにきてくれる皆さんと少しでもシェアしたい、そんな気持ちで書いています。そうすることは私にとって学びを深めるプロセスにもなっています。読んでくれている皆さん、ありがとう❤️

まずはこんな質問から投げてみました。
Q:シュタイナー教育との出会いはどんなものでしたか?角口さんは、なぜシュタイナー教育をしようと思いましたか?

人と人との出会いには偶然のような必然的なストーリーがありますが、教育の思想との出会いも不思議なタイミングとストーリーがあるものです。そして、シュタイナー教育と出会うのも運命だった。を感じる時はあるものです。実は、私がそれを誰よりも感じています。

人生の旅の中で、何と出会い、誰と繋がり、何を取り入れ、何を捨てるか。
角口さんの人生のあり方を、この短い時間から感じることができ、そこから学ぶことがありました。

角口さんは、もともと20代は金沢で普通の保育園で保育士さんをしていました。でも、何か違和感を感じる。そして何よりも、子どもたちに存在しているキラキラしたものにすっかり魅せられた角口さんは、子どもたちのそのキラキラを大事にする教育が他にあるのではないかと思ったそうです。そのタイミングで出会ったのが子安美知子さんのミュンヘンの小学生・中学生の本だったようです。子安さんの、この本にはどうしたらいいというようなHow toのようなことは書いてなく、でも書いてある文章の後ろに隠れているものにシュタイナー教育には何かわからないけど本質があると直感で思ったそうです。結婚をする幸せもあるだろうか?と、悩むような適齢期の時期に、ご自身の直感、心の声に従ったそうです。

これは私の想像ですけど、、、角口さんの20代は70年代から80年代にかけてでしょうか?北陸は保守的です。しかも、今は少しばかり変わってきているかもしれませんが、当時は『結婚=女の幸せ』神話はまだまだ深くあったと思います。

結婚よりも直感を選んだ、、そんなことをフワリとお話ししていましたが、角口さんが自分の内側に感じるものにいかに忠実でいたか想像しながらお話を聞いていました。

それから、たまたま(=運命的)東京の子安さんの住むエリアに引っ越され、子安さんからオルタナティブな教育を模索している先生方とともにドイツ語を学び、スイスのベルンへ留学。現地のゼミナールでシュタイナー 教育を深められました。それから、シュタイナー教育が実践できる現場をつくったり、シュタイナ教育ならではの水彩画や人形劇、ライゲンなどのワークショップをしたり、若い保育士さんや親御さんに広めてこられました。

直感的に感じた、シュタイナー教育にある本質。。。この本質を長年勉強されてきた角口さんだからこそ語れる、わかりやすく、とても整理されていて、スーッと腹落ちするような言葉でいろんなお話が続きました。

Q:40年以上、小さい子どもたちと関わりながら、時代の変化を子どもたちや親たちの中にどんなことを観察できますか?

松田道雄さんというお医者様の紹介があった際に、彼の診察などの体験やまとめた言葉を引用しながら角口さんはお話をしてくれました。

今から半世紀ほど前、早期教育という言葉がでてきました。3歳くらいの子どもたちは、乾いた砂漠に水をまくようになんでも吸収し覚えてしまいます。恐竜の名前、動物の名前、魚の名前、、、。

この子は天才かも?って驚き喜ぶ親の姿が目に浮かびますね。

筆者の松田医師も3歳の誕生日に動物図鑑を父親からプレゼントされ、写絵で遊びながら魚の名前を50以上、動物図鑑の動物の名前も2ヶ月で覚えたそうです。父親はもちろん喜んだ。ところが、今となったら覚えている魚の名前と言ったらタイかヒラメ。筆者は自分は父親からおもちゃにされたと怒りを感じたそうです。

3歳くらいの小さいな子どもたちにいろんなことを覚えさせる。教えられて、覚えて、立派なことが言えたりする。すると親は喜ぶ。そんな早期教育については、当時はかなり疑問を持つ親もいて、あまり良くないとされていました。

今の時代は『早期教育』という言葉すら使われなくなった。なぜなら小さな子に早い時期から教え込むことが当たり前、普通になってしまった。

そうか、、、普通になってしまうと、疑問すら持たなくなってしまうものです。逆にそうしていないことが、ちゃんと教育していないと錯覚に思えてしまう親御さんもいるかもしれません。これが角口さんが指摘する時代の大きな変化なのです。

そして、時代の変化はそれだけではなく、半世紀前は、早期教育といっても、なんだかんだ、のんびりと時間の流れもゆっくりしていた。今は、なんだか忙しく時間の流れが早い。

そして、子どもが外へ自由に遊びにいけなくなった。子どもが見えない檻にいるようで想像的に遊ぶ環境がなくなってしまった。

『今の子どもを取り巻くあり方は、子どもたちの可能性のごく一部しか育てないんですよ。』

と、角口さんは語ります。

そして、参加者さんの中で、これまでモヤモヤしていた憑き物がとれたような気持ちになったのが、この質問に対してのお答え。

Q:ご自分はシュタイナー教育の哲学をもちながら、普通の保育園でを仕事をする中で、これは違うとか、これは我慢ならないとか、これを変えたら保育はよくなる、と考えることは何か。

シュタイナー教育が素晴らしいと学んでも、現場で働けない。けど今の現場でどうシュタイナー教育をどんな気持ちで実践していけるかモヤモヤしている人。

シュタイナー教育を子どもにさせたいけどできない。(できなかった)

通う公の学校で一人ひとりの子を見ずに、画一的な教育をいかにもされている感じにたまらなくなるお母さん。

シュタイナー教育を学び始めると日本で一般にされている保育や教育との乖離に悩む人は多いものです。
公の教育現場でも素敵な先生はたくさんいます。素敵な保育現場もたくさんあります。。。が、”こうあるべき”という全体主義的な環境にいる場合、そういう、はざまに立たされ、保育士や親御さんはどう考えたらいいのか?
リアルな現場での角口さんが実際に体験されているたくさんのフラストレーションやジレンマの具体例を話してくださりながらも、大事なことは、

『シュタイナー教育現場だからこそできることはたくさんあります。。。。途中略。。。でも、シュタイナー教育と一般の教育の間に垣根を作らないこと。そして、子どもを観る目。子どもが内側からどう変化しているか?見えない部分を(シュタイナー教育を学んで)どう温かい目で観ているか?

子どもは、学校で学ぶんですけど、お友達も大事とかあるけれども、最終的には親をみて子どもは育ちます。学校は学ぶところですが、一人の人として生きることを育てるのは親が大きいんです。親がものすごく作用します。』

と。

子どもの教育は知識を教え込むことではなく、『人になっていくこと』を育てるということ。

シュタイナー教育から学ぶ時、私自身、特に真摯に学びたいと思う点は、この『人になっていくこと』とはどういうことかということです。

そして、まだまだ大事なメッセージは続きます。

参加者の方からもう1つこんな質問がありました。

Q:こどもと対等であることについてはどう思いますか?
いい質問!

この質問で、角口さんははっきりと力強く答えくださいました。

子どもは子どもです。
そして、親は親です。
親と子どもは対等ではないんです。

親には親の責任があります。

現代社会の傾向として、子どもを自由に伸び伸びということで、子どもの意見を尊重することが強くなってきています。そこに対等性が出てくる。そこに、往々にして自由の履き違えが生じています。

確かに、子どもが自由を感じることは大切です。でも、これは子どもの視点からの小さな自由。でもこの自由は大人になった時の自由とは全く別物だったりします。子どもは小さな大人ではないということをここでしっかり理解する必要があります。

子どもは対等ではなく、子どもとして尊重される。

これが大事です。

子どもも自由 私も自由

自由は大事です。

でもね、『本当に子どもは自由だろうか?』ってことなんです。
本当の自由ってなに?

自由に育てるという風潮のなかに、子どもになんでも決めさせることの危うさって確かにあるものです。大人が子どもをよく観察し、その子の大事なところを育てたいからこそ、大人が大人の判断でその子にとっての最善を決めてあげる。そこで生まれる信頼と安心を元に、子どもたちは自由を感じます。

1時間のライブトーク、角口さんのお話はとても濃くて深いものが他にもたくさんありました。濃くて深いんですが、垣根をつくらないような気さくな角口さんのムードはなかなか文章では再現できないのが残念です。それでも角口さんの長年の体験からくる抽出液のようなメッセージをここに訪れてくれた方に受け取ってもらえたら幸いです。

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白山ウォルドルフコミュニティでは、3月に行われた富山、せんだんのHill、森の園舎での角口さんの『子どもは賢い』の講演の録画販売を行なっております。たくさんの方に繰り返し繰り返し何度も聞いて欲しい内容がギュッと詰まっています。

角口さんの講演の動画の一部です。
角口さんのお話を聞くことで子どもを観る視点が変わります。
子どもを観る視点が変わったら、子育ても、保育も変わります。



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