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【詩】きのうまでの恋

きのうまでの恋

 放置されている恋がある
 きのうまでの菫
 きのうまでの薔薇
 きのうまでの山査子さんざし
 一輪挿しの残酷な幸福をありがとう
 あざやかな絶望が
 いま 日付をまたいでいる

 もどっちゃだめよ
 たぶん 君は そういうだろう
 もどるもんか
 ぼくは 昨日の君に
 希望を投げつける
 どうしようもなかったのよ
 好きになるのも嫌いになるのも
 君のむなしい言い訳が
 山彦のように冬の夜空にこだまする
   われわれの生きる世界は
 なんにたとえようもないが
 これだけはいえる
 どんな真実も
 ときがたてば 嘘っぱちになる と
 すかさず ぼくの中のきみが見え透いた弁明をする
 ちがうわ
 おたがいのうそが本当にみえただけよ

 放置されている恋がある

 きのうまでの淡い夢
 きのうまでの愛の戯れ
 きのうまでの棘だらけの暮らし

 雪の落ちる音がしている
 来るはずのない
 明日に
 恋が
 出ていくところだ


ずいぶんむか~しのことです。
Beatlesの「Yesterday」が沁みたなぁ。
特にここが・・・

  Why she had to go?
  I don't know, she wouldn't say
  I said something wrong
  Now I long for yesterday.

彼らはもう解散してましたけどね。


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