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薄楽詩集

40
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2023年7月の記事一覧

【詩】あじさい

【詩】あじさい

夕暮の路地の雨の中
貴女の踵の折れたハイヒールを見つめ
わたしは薄紫に咲いたのでした

白い少女のときもあったけど
わたしはあのときから貴女の雨を聴くようになりました
悲しい夜の腎臓にしとしと浅緑の雨が降り
憂鬱な朝の子宮にじとじと浅黄色の雨が降り
淋しい胸にひねもすしくしく青褪めた雨が降り
そして わたしは貴女の心の雨になりました

だけど 昨日の貴女は なぜか
知らない人の夕焼け染みついて

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