たくましき彼女　蓮

はす
静かに静かに花を咲かせるまでは息をしている
存在も見えない
泥沼の中から
ちょこんとある日
ここにいるよー
って　芽をみせてくれる

ニョキニョキ太陽に向かう

あの暗くて、どろどろした中で
どうやって息をしていたのだろう？
彼女は強い

観ていると知らぬ間に沢山の葉っぱをつけ
雨の日は
コロコロ雨粒が踊り出す舞台へと変身

雨が強くなればなるほど
風が強くなるほど
伸びた茎は折れそうになるが
しっかり立ち直る
犠牲になる子もいるが
全体でみたら、皆んな助けあい
たくましくまた成長する

雨の舞台も釘付け

ある日
その草村から花芽をつけた茎を発見

ワクワク感は
毎日続く
彼女はなかなかのもの

じらすのはお得意！

蕾がついてもなかなか咲かない

蕾が成長して葉っぱさんに守ってもらっていたのが
やっと葉っぱさんの背をこして
太陽へと自立して向かう

それでもまだじらす
彼女！
なかなか強者

たった3日しか
お披露目をしないのに
泥沼からの月日は長く

長い暗闇の世界を全く
イメージさせなく
やっと
ポッ！って小さな音をたて
花びらが膨らみ中を見せてくれる

また見せ方の演出をよくご存知で
一日目は　ここまでよと声がする
二日目には　やっと華やかな
三日目には　姿を全開で見せてくれる
優しい香りに包まれながら
そして見事に花びらは散り見事なシベの主役になる
夏の終わりが来て朽ち果てるまで、茶色になるまで
あなたは心を惹きつける

こんな優しさな香り嗅いでみて

あなたの曲線に釘付け

真夏の花がない時期　ミツバチたちも通ってくる

あなたの　この暑さの中でも笑顔で咲き
不平不満も言わず
次への世代に繋げていく

彼女のこの強さに古代からの人も魅せられていたのだろう

なんでもそうだが
経験しないと自分ごとでわからない、脳みそにだけあるだけ
泥沼の中に手を入れて　蓮の種を見つけた時には
泥沼の中でも嬉しい

まるで人間の一生のように思える
ただ、彼女には欲がない

ただただ、そこに存在して
その瞬間を生きてるだけだ
周りで　綺麗！　とか　沼！　とか言ってるのは　外野の人間だけ
見習いたい、無心に我が時を生き抜く
凛とした姿を
大風の中でも支え合い生き延びていこうとする姿を

色んな植物を育てる機会に恵まれてるが
蓮だけではなく
無心に生きる植物から
私は教えられる

どうか、大風が周りで吹いても　
痛んでも
アスファルトの隙間から太陽に向かう　草の姿に気がついてほしい
誰が何を言おうと
あなたは　太陽に向かって生きている
それだけで
それだけで

いいのだ

どこかでこの夏　蓮の花に出会ったら
彼女はたった三日しか咲かない華やかさを改めて感じてみて