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ヒトラーお抱えエリート部隊SS隊員になるには?【入隊手順・基準・モットー】

今回はSSについて紹介していきます。SSについての簡単な概要や、入隊手順や基準、SSの掲げるモットーについて見ていきましょう。

エリート部隊SSとは?

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Schutzstaffel(親衛隊)、通称SSとは1923年に発足したヒトラー個人の警護部隊です。1925年に公式に認められましたが、当時はまだSAの配下で存在感も薄く目立つことはありませんでした。SSとSA、それぞれどちらも役割自体はヒトラーやナチス党員を外部から守る護衛隊でした。しかし、SAはナチス党の中でも問題の要素で、ヒトラーの命令を聞かないこともあり、ヒトラー自身は自分に絶対的に忠誠させるエリート部隊が欲しいと思っていました。1929年にヒムラーがSS全国指導者として就任すると急速に勢力を拡大し、また1932年にはあの「黒服」が導入されることになります。

武装SSは陸海空軍に次ぐ、第4の軍隊に登りつめた

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1940年には、SSの特務部隊から武装SSが正式に発足し、陸海空軍に次ぐ、第4の軍隊となりました。この武装SSの存在をドイツ国民が知ったのは、レニ・リーフェンシュタール監督の『意志の勝利』の中で、『バーデンヴァイラー・マーチ』によって行進した「アドルフ・ヒトラー親衛隊」の姿を見たことです。ヒトラーの前で唯一抜剣できるエリート部隊の姿に、ドイツ国民は熱狂しました。

SSになる手順とは?

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SSになるにはどういった手順が必要だったのでしょうか?そもそも、SSになる大前提は18歳以上のドイツ国民であることですが、以下見ていきましょう。

①SS入隊の申し込みをする
②ヒトラーへの忠誠を誓う
③SS入隊候補者(SS-Anwärter)となり、1年間、国家/SA体力検定章を取る
④国家労働者奉仕団で3ヶ月〜6ヶ月奉仕活動をする
⑤国防軍で2年間の兵役義務を修了する
⑥SSに戻ることを希望し、教育を受ける
⑦その年の11月9日にSS2等兵(SS-Mann)として入隊する

SSの入隊基準とは?

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ヒムラーはSSを超エリート部隊に仕立て上げるため、入隊条件を厳しく管理していました。人種・植民本部下の人種審査委員会によって審査され、その条件は以下となりました。

・アーリア祖先(金髪碧眼)の存在を1648年のヴェストファーレン条約締結まで遡って証明できるもの
これは、1648年終結の三十年戦争以前は戸籍調査が容易ではなかったためです。ちなみに、この条件は厳しすぎたため、1936年晩夏にヒムラーによって、1800年に下げられ、また1937年12月には、さらに2世代前にアーリア人であれば良しとされました。

・最低170cm以上であること
・年齢上限は30歳とする
・身体適格を明示した医療証明書を提出すること
・ヒトラーに絶対的な忠誠を誓約すること

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SS候補生がついにSSに任命され、襟章(SS)を授与される時に宣誓する誓いの言葉、Eidformel der Schutzstaffel(親衛隊の誓い)の全文は、3つの質問と答えで構成されていました。以下がその言葉となります。

・問い1
Wie ist Dein Eid?(あなたの誓いは何ですか?)
Ich schwöre Dir, Adolf Hitler, als Führer und Kanzler des Deutschen Reiches Treue und Tapferkeit. Wir geloben Dir und den von Dir bestimmten Vorgesetzten Gehorsam bis in den Tod. So wahr mir Gott helfe!(私は総統兼首相であるアドルフ・ヒットラーに対し、忠誠と勇敢であることを誓います。私たちは、あなたと、あなたによって任命された上官に命ある限り服従することを誓います。神の御加護を。)

・問い2
Also glaubst Du an einen Gott?(あなたは神を信じていますか?)
Ja, ich glaube an einen Herrgott.(はい、私は主なる神を信じます。)

・問い3
Was hältst Du von einem Menschen, der nicht an einen Gott glaubt?(あなたは神を信じない人をどう思いますか?)
Ich halte ihn für überheblich, größenwahnsinnig und dumm; er ist nicht für uns geeignet.(彼らは傲慢で、誇大妄想的で、愚かで、私たちにふさわしくないと思います。)

ちなみに、SS特務部隊(武装SSの前身)は、より条件が厳しくあり、若い人材であることがより強く求められました。

・最低174cm以上であること
・年齢上限23歳とする
・眼鏡使用者は除外とする

SSのモットーとは?

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SSのスローガンは「我が名誉は忠誠である(Meine Ehre heißt Treue)」です。1945年解体まで、SSのベルト・バックル、またSSの短剣に付けられていました。これは、1931年にSSがSAからの独立性をアピールしたシュテンネスの反乱の功労者であるSS指導者ダリューゲにヒトラーが送った手紙の一文が元となっています。ヒトラーは「SS隊員よ、汝の名誉は忠誠である(SS Mann, deine Ehre heißt Treue)」と言いました。

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また、SSの帽章の髑髏トーテンコップは「我らが黒い制帽にいただく髑髏は、我らの敵への警鐘。我らは、我らの命を我らの指導者の示すところに捧げよう」という意味があります。髑髏というとおどろおどろしいですが、その意味は死を恐れず骨になるまで祖国のために戦うという忠義なるものでした。ちなみに髑髏が公式に使われたのは、1740年フリードリヒ・ヴィルヘルム1世の葬儀においてまで遡ります。

SSの理解として参考になれば幸いです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

白狼(はくおう)ちとせ🐺

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