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研修医になる医学生に伝えたいこと 

ご覧いただきありがとうございます.
興味のあるところから,お好きなように読んでみてください♪

こんにちは.2023年初の記事です.

早くもわたしの研修医1年目が終わろうとしています.
そこで,このタイミングでこれから研修医になる人たちに何か残しておきたいと思いました.

わたしについては,

こんな記事を読んでもらうと分かると思います.

こんな記事で書いてるんですけど,わたしは他のところでは見られないような視点から情報を伝えたいと思っています.

なので,今回もそこを意識しました.

わたしが研修しているところでは,ある程度自由にローテーションを組むことが出来ます.なので,そのシステムについての話も少しできたらいいな,と思います.

研修が始まる前に私が感じたことはこっちの記事に書いているので,
研修前後での違いを比べてみるといいかもしれませんね♪

1.何も出来ないのが当然

これですね.研修医になって学ぶことって医学知識だけじゃないんです.
その病院,その科,その先生,その看護師ごとのルールに沿って空気を読んで動くスキルが求められます.なので,国家試験の点数と研修医になってからの働きぶりは相関しないと思いますσ(^◇^;)
何が言いたいかというと,
中にはキツイ先生,看護師とかもいて,

「(こんなのもわからないなんて)学生の時になにやってたの?」
「先生さー,もう学生じゃないんだからちゃんとしなきゃダメよ?」
「僕/私が研修医の頃は,そんなこといちいち教えてもらわなかったけど」

【症例】  1つの科に必ず1人はいる中堅の先生
【主訴】最近の研修医は甘いし仕事もテキトーだ
【方針】治療介入せず,患者の主訴に共感を示す

とか言われることもあるわけですね.人間としての器がおちょこくらいしかない私なんかは,すぐカッチーンときてしまったりするのですが,その気持ちを表面に出してしまったら試合終了です!
今では一人前のようにして立派に働いているそんな先生方や看護師方だって,最初は何も分からないときがあったはずなんです.けど,長ーく,ながーーく経験を積んでいく中で記憶が都合良く書き換えられちゃって,いかにも自分は若手の時からバリバリ立派に働いていた感じに錯覚しちゃうわけです.

そう思ったら,可哀想になってきませんか?

そう!その気持ちがとても大切です.
言われたことの対象を自分に向けると抑うつやイライラに繋がりますから,

「あぁ,この人はこんなことを言うようになって可哀想だなあ
――ここはおとなしく傾聴と共感で乗り越えておこう」

先ほどの症例に対する望ましいアンガーマネジメントの例

という風に言われたことの対象を相手に向けるようにしてみてください.
結構変わります♪

2.不知の自覚(なべおたま)


国家試験が終わった直後の6月くらいまでのタームって,医学の知識に関する広さは指導医の先生よりも広かったりします.だから,カンファレンスとかで出てきたこととかで「これ国試に出るくらいの話なのに,知らないんだなあ」とか思ったりすることもあるでしょう.

こうなる気持ちもわかるんですけどね
σ(^◇^;)ただ,これではいけません.

ですが,そうなってしまうと将来さっき書いたようなことを研修医に言っちゃうことになります.そもそも指導医の先生方は専門分野で研鑽を積んでいるわけで,逆にその専門分野においては勝てるはずがありません.そこをまず自覚しましょう.
次に,国家試験に受かるために詰め込んだ知識を過信するのはやめましょう.臨床の場面では,必修で禁忌になるようなことが平然と行われることもあります(特にコミュニケーションに関して).そういうのは必要な理由があって行われていたりするので,無闇に切り込んでいったりしない方がいいです.

なのでわたしが逆にオススメするのは,「僕/私は臨床のことは何も知らないので勉強させてください!」というスタンスをしっかりと取ることです.これは,「何も勉強していない不真面目な学生でした」という意味ではないです.「自分が勉強してきた知識が十分だとは思っていないので,まだまだ学ぶ必要があると考えています」という意味です.

そういう態度を示すのに便利な会話技法があります.
それが,「なべ,おたま」です.

るほど!
んきょうになります.
っしゃるとおりですね!
しかに!!
たよろしくおねがいします!

医学生の時から知っていたのですが,
この言葉が本当に効果を発揮したのは研修医になってからだと思います.

言うまでもないかもしれないですけど言っておきますが,「なべ,おたまロボット」になっちゃいけませんσ(^◇^;) 感情を込めましょう♪

当然ですけどこれって,自分なりにアレンジするんですね.
わたしがよく使うのはこんな感じです.

・なるほど・・・しかにそうですね!
・患者さんの診察所見なんですけど,先生のっしゃるとおりでした!
・(週の終わりに)た来週もよろしくお願いします!!

感情を込めて! 笑顔で伝えれば,よりGood★

――あとは,「ありがとうございます」とかも意識的に使いましょう.

看護師さんも指導医の先生も人間なので,コミュニケーションの仕方次第で接し方が変わってきます.相手を変えることはできません.相手を変えるためには自分を変えるしかないのです.

3.雑用は嫌がらずに澄まし顔で淡々と

これ本当に大事です.

こんなことして,何の意味があるの?
そんなときもあるんですけどね・・・.
まあでも,目の前のことを終わらせることだけ考えてたらあっという間です.

何もできないのが当然の研修医が給料に相応しい仕事をするためにも,雑用は受けましょう.あとで書きますけど研修医は新人看護師や医学生すらも見上げないといけない存在ですから.

もちろん,心身共に余裕がないなら仕方ないですが,わたしの考えとしては,余裕のない状態の人は,自身を見直すと原因がどこかにあると思います.

「あの研修医は,頼み事をすぐ引き受けてくれる」
という印象は結構大事だったりします.
仕事をすぐに他の研修医に丸投げしたりすると,
当人同士は問題なくてもすぐに噂が広がり,やりづらくなります.

あと,当然ですが,引き受けたら必ず全うしましょう.特に看護師さんから「●●さんの××指示を入れてください」とか言われる場合ですね.どこかの科の上級医の先生に言われたんですけど,「看護師さんは医師の指示が滞ることで特に意味も無く患者さんを待たせるのを凄く嫌う」ということです.
なので,看護師さんから見て研修医や医師が仕事できる人かどうかっていうのは,「頼んだことをすぐに対応してくれるか,もっと言えば頼む前からちゃんとやっていてくれるか」というポイント一点だったりします.

見られているのは,そこだけ!

どうせ年齢,地位とともに雑用なんて減っていくんですから,今は仕方ないな,と思ってとにかく機械的に捌いていくのが賢いと思います.

4.研修医は医学生以下の存在σ(^◇^;)

これも声を大にして言います.
医学生は,(親御さんが)お金を払って学びに来ているお客様です.
対してわたしたちはお金をもらって学ばせてもらう病院のスタッフです.
ですから,当然医学生の立場のほうが高いことになります.

これを理解していないと,いろいろな現場で悶々とすることになります.
手技の見学にしても,外来の見学にしても,まずは学生さんを優先してあげましょう.なぜかというと,医学生(の親御さん)はそのためにお金を払っているからです.

さて,では研修医は序列のどこに位置するのでしょうか?
あくまで私の考えなので全部鵜呑みにはしないでほしいんですけど,

1.診療科教授
2.病棟師長
3.診療科講師以上(原則病棟患者は持たない人たち)
4.病棟のベテラン看護師,診療科助教以上
5.新人看護師,その他の診療科スタッフ
6.研修医
 ←コレ

診療科のヒエラルキーはだいたいこんな感じ

まあこんな感じですね,体感として.
病院スタッフではないので,ここに医学生は入れていません.

もともとこんなものだと思っていればヘンなスタッフがいたとしても腹が立つことは少ないですし,逆に凄く良く接してくれるスタッフがいたら神様のように見えますからねσ(^◇^;)

5.自己実現を初期研修に求めたらアウト

ここまで見たように,研修医はピラミッドの底辺よりも下くらいです.
なので,一生懸命頑張ったのに「あっそ」くらいで流されることも当然ありますし,テキトーならテキトーで延延と講釈されることもあるわけです.

ですから,自分のQOLを初期研修に求めたらいけません.

初期研修は,こんなこと言ったら怒られるかもしれないですけど,茶番です.どんな進路に進むにしても,とりあえず終わらせとかないといけないから仕方なくやっているわけです.現に,昔の先生方はそんなのなかったわけですから.

ですから,学生の時にはお金が無くてできなかった遊びとか,あるいは新しい勉強を始めてみるとか(別に医学でもいいですよ),なにか自分のためになることに時間を使ってあげましょう.

研修の中でどうでもいいことに悶々とする時間は本当にもったいないです.
その時間を自分のために大切に使ってあげた方が生産的だと思います.

Ex.興味ない科は1年目に回った方がいい

ローテーションをある程度自由に決められるプログラムの場合は,これがオススメです.さらに,キツイ科は1年目の中でも早めに回るといいでしょう.

理由はいくつかあるんですけど,

1.1年目なので指導医に「甘やかして」もらえる
2.2年目の研修医に頼ることができる
3.研修医としての経験がない方が先入観なく診療科を知ることができる.

のように,パッと考えただけでも3つは挙がります.
2年目に回る診療科は,これの逆と思えばいいです.


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