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『宇宙なんちゃら…』ではない方の“こてつ”くん…名刀《虎徹》くんを息子と観てきました@東京国立博物館

最近、金曜と土曜だけですが、東京国立博物館(トーハク)の閉館時間が19時になりました。ということで、毎週金曜日はできるだけトーハクへ行こう! と思っています。

ということで今週金曜日は、友だちと喧嘩して泣きながら帰ってきた息子をなだめつつ、泣き止んだ頃合いで「それじゃあトーハクへ行こう」と誘って、出かけました。ものすごく嫌がっていましたけどね……。でもその日は、息子が出かける時に「今日は早く帰ってきてもいい?」と聞いてきたんです。「いいけど、今日はトーハクに行くから、早く帰ってきたらトーハクへ一緒に行くことになるよ」と言っておいたんです(妻の帰宅が遅い日だったので)。「約束したよね?」というと「う……ん……したね」と本当に嫌々でしたが、制服から着替えさせて連れ出しました(小学3年。公立小学校です)。

《刀 長曽祢虎徹 F-304》
銘 長曾袮虎徹入道興里
金象嵌銘 四胴 山野加右衛門六十八歲 ニテ截断 永久(花押)
于時寛文五年二月廿五日

今週、本館1階の刀剣コーナーの展示替えがあり、国宝の《太刀 伯耆安綱》が展示されているんです。別名……名物 童子切安綱です。先週までは大人気の《三日月宗近》が展示されていたので、行くとたいてい行列が出来ていました。一方、《童子切安綱》は、18時に行ったこともあり、行列するほどではありませんでしたね。それでも先客が居たので、写真を撮りたいから貸してほしいという息子にiPhoneを渡して、わたしは一人で《童子切安綱》のこしらえを観ていました。

すぐに、他の刀剣を見に行っていた息子が戻ってきて「ちょっと来て、これなんて読むかわからないから教えて」と言って、わたしの腕を引っ張っていきます。

連れていかれたのは《虎徹》の前でした。

「あぁ虎徹ね。すごく有名な刀だよ」と教えると、息子は「こてつ? へぇ〜、(NHKのEテレで放送中の)『宇宙なんちゃらこてつくん』とおんなじなんだね」といいます。「いや、そのこてつとは違うけど……まぁ同じかもねw」と言いつつ、わたしは写真を撮り始めました。すると息子もまたパチリッ。まだピントを合わせているわたしに「見て見てw 先っぽを撮った!」と……「ちょっと待ってよ……」

《刀 長曽祢虎徹 F-304》先っぽ=鋒(きっさき)
《虎徹を撮るわたし》を息子が撮っていましたが、わたしの部分はトリミングしました

長曽祢虎徹は、越前国(福井県)の甲冑師の出身で、江戸に出て刀工となり、その作刀は優れた切れ味から名刀の代名詞となりました。本品は典型作の一つで、よく鍛えられた地鉄に数珠刃といわれる刃文を焼入れ、茎(なかご)には試し切りでの切れ味を示した金象銘があります。

解説パネルより

解説パネルにある茎(なかご)というのは、手で持つ部分ですね。ただし実際に使う時には柄などを装着します。そして、この刀は使ったことがあるそうで、「試し切りでの切れ味を示した金象銘があります」と記されています。下の画像はトーハクのアーカイブから持ってきた画像ですが、茎(なかご)の部分に「長曾袮虎徹入道興里」と銘が刻まれています(画像右側)。そして茎(なかご)の反対側には……「四胴 山野加右衛門六十八歲(改行)ニテ截断 永久(花押)于時寛文五年二月廿五日」金象嵌で銘が入っています。

試し斬りといえば代々の山田浅右衛門さんが有名ですが、山田家が担当する前まで試し斬りしていたのは山野さんでした(山田さんは山野さんの弟子)。その山野加右衛門永久が68歳の時に試し斬りしたということでしょう。「四胴」とあるので……死体4人分を並べて切り通したんですかね……そんなに斬れるのかとも思いますが…。

この山野加右衛門永久さんは、晩年には自身が斬っていった罪人の供養のために、もともとあった蓮台寺という寺を再興しました。しばらくすると寺の名前は「永久寺」に改められ、今も東京都台東区三ノ輪にあります……知らなかったなぁ。ちなみに刑場のあった小塚原 (こつかっぱら)や、身寄りのいない吉原の遊女が亡くなった時に葬られたという浄閑寺(別名:投込寺)のすぐ近くにあります。

茎(なかご)の部分に「長曾袮虎徹入道興里」と銘が刻まれいるのが確認でいます

解説パネルには「よく鍛えられた地鉄に数珠じゅず刃といわれる刃文を焼入れ」てあるとしています。これって……数珠じゅず刃なんですかね? あまり山というか……波の間隔や高さが一定でないので、普通に乱れているだけのような気がするのですが……どうなんでしょう。

ちなみに今回の《刀 長曽祢虎徹  銘 長曾袮虎徹入道興里 F-304》は、“虎徹マニア”として大久保一翁さんについて書いた、先日のnoteで言及した“虎徹”なのではないかと思います。大久保一翁さん旧蔵品だったのではないかなと。noteしたあとの、こんなに早く件の虎徹が展示されるとは思っていませんでした。ちなみに、トーハクでは虎徹がたびたび展示されます。同館には何本の虎徹が所蔵または寄託されているんですかね……。今後は、同じものなのか、異なるものなのかを気にしていこうと思います。

ということで、また

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