見出し画像

資料的な意味で、松花堂昭乗の書を残しておきます

東京国立博物館(トーハク)は、所蔵品の画像データを誰もがアクセスできて、利用できるようにしてくれています。ただし……巻物みたいな作品の場合は特になのですが、その画質が残念なものであることが否定できません。

現在、トーハクに展示されている松花堂昭乗が書いた《詩巻 B-972》も、そんな残念画質の1つです。ということで、その《詩巻》をiPhoneで撮ってきた画像を、noteしておきたいと思います。ちなみに下記URLがトーハクのアーカイブです。


●温庭筠「天寶年中事玉皇」

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

贈禅筝人
    温庭筠
天寶年中事玉皇
會将新曲教寧王
鈿蝉金雁皆零落
一曲伊州涙萬行

1. 天寶年中事玉皇
唐玄宗の天宝年間、玉皇大帝が寧王に新曲を教えたという故事を指しています。
2. 會将新曲教寧王
玉皇大帝が寧王に新曲を教えたことを意味します。
3. 鈿蝉金雁皆零落
かつて寧王の栄華を象徴していた金蝉や金雁の装飾も今は散り失せてしまったことを意味します。
4. 一曲伊州涙萬行
かつて寧王のために作られた伊州の曲を聴くと、その栄華の消滅を悲しみ、涙が止まらないことを意味します。

Bardが教えてくれた解釈

●鮑溶「紫煙衣上繍春雲清隠山」

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

鮑溶「贈楊錬師」
紫煙衣上繍春雲清隠山
書小篆紋明月在天
将鳳菅夜深吹向玉宸君

この詩は、美しい女性が美しい衣服を着て、月明かりの下で愛する人に語りかける様子を描写しています。
紫煙衣上繍春雲清隠山
紫色の煙が立ち上るような美しい衣服に、春の雲と清らかな山を描いた刺繍が施されている
書小篆紋明月在天
小篆の文字で月明かりの下に立つ様子を刺繍している
将鳳菅夜深吹向玉宸君
深夜に鳳凰の羽根で作った笛を吹き、玉のように美しい君に思いを伝える
解釈
この詩は、女性が愛する人への深い愛情と、愛する人への想いを伝えたいという強い気持ちを表現しています。

Bardによる解釈解説

「贈日東●禅師 鄭谷」の詩については、なにが記されいるか……お手上げです。鄭谷さんは唐代の人。進士に及第したエリート役人。

●「寂」

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

上画像の右から2行目に大書されているのは「寂」という文字なのだそうです。1089ブログによれば、弘法大師・空海の書風から生まれた「大師流」の書風で書かれています。解説パネルにも同じようなことが記されていたのですが「さいごのハネの部分がうねるように書いてあることが多い」とあるのですが……「最後のハネ」って、どこのことを言うんですかね……。

●杜牧「漢江」

その「寂」の字の左側には「漢江 杜牧」とあります。どうやら下記サイトに記してある漢詩を記したようです。

  • 溶溶漾漾として 白鷗飛び

  • 綠浄く春深くして 好く衣を染む

  • 南去北来 人自ずから老い

  • 夕陽長く送る 釣船の帰るを

●唐李「郢秋月」

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

宿杬刈虚白堂(宿杭州虚白堂)
李郢(ではなく)唐李
郢秋月
斜明虚白堂 寒蛩唧唧树苍苍
江风彻晓不得睡 二十五声秋㸃长

<Bardによる解釈>
郢の秋の月が虚白堂を斜めに照らし
寒々とした蟋蟀(コオロギ)が、 蒼々とした木々の間で鳴いている。
江風が夜通し吹き、眠れない。 二十五声の秋の声が、 長く聞こえてくる。

■不明

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

■司空曙「自河西歸山」

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書

舟河西歸山 司空曙
水闊風高去路危
孤舟欲上更遲遲
鶴羣長繞三珠樹
不借閒人一隻騎

1. 「水闊風高去路危」は、水が広くて風が強く、行く先が危険であることを意味します。
2. 「孤舟欲上更遲遲」は、孤舟が上ろうとしても、水流が速くてなかなか進めない様子を意味します。
3. 「鶴羣長繞三珠樹」は、鶴の群れが三珠樹の周りを長く飛び回っている様子を意味します。
4. 「不借閒人一隻騎」は、仙人が鶴に乗って飛び去っていく様子を意味します。

●不明……お手上げ

《詩巻 B-972》松花堂昭乗筆 | 江戸時代・17世紀|絹本墨書



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?