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愛猫の肖像画を描いてもらった話

似顔絵って、すごいですよね。特徴を掴んで、更にそれをビジュアルでアウトプットする、なんてことは「ただ、顔の判別がつく」以上の技能だと思います。それが、動物の似顔絵とくれば、驚きはなおさらというもの。

たとえば、猫。興味のない人にとっては、その個体が太っているか否か、毛色は何色か、くらいしかビジュアルの印象が無いと思うのですが、猫好きならご承知の通り、猫って個体によって、顔立ちがだいぶ違いますよね。

たとえ毛色、体格がよく似た猫が2匹並んでいても、猫を見慣れている場合はなんとなく、顔立ちで判別がつきます。しかし、違いがわかったとしても、それを明文化できるかは、また別のおはなし。

これは、愛猫の肖像画を描いてもらって、特徴の表現に大層感動したというお話です。

愛猫の肖像画をお迎え

この度、霧生だいや(@daiya_kiriu)さんに、宅の猫の肖像画を手掛けて頂きました。

霧生さんは、コンセプトカフェのスタッフ兼店長を経て、現在はイラストレーター&アートセラピストとして活動しています。市民講座でイラストを教えていたり、基本「描く人」なんですが、たまにステージで歌っていたり踊っていたりすることもある名古屋の芸人…じゃなかった、表現者です。

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動物の肖像画、昨今のインターネッツでは、ちょいと探せば様々にオーダー先を見つけることが出来るでしょう。私も今までに興味をもって、色々なクリエイターさんのサンプル画像を眺めてはいました。

しかし、どんな絵も犬は犬、猫は猫、犬種・猫種の特徴は見て取れても、はたまた絵として素敵でも、それが元の犬猫に毛色を寄せただけに過ぎないのか、本当にモデル動物に似ているのか、なんてわからなかったわけです。

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今回、霧生さんの作品をお迎えして、確信しました。動物にも似顔絵ってあるんだ……と。

この画像からも、絵の素晴らしさは伝わるかと思いますが、これが元の猫にどれほど似ているか、飼い主だけがわかる部分もあるかと思います。

ありますよね? あるんですよ。そうです。この絵に表現されている、愛猫のニッチなチャームポイントについて、語りたいだけでもありますが、とにかくこの感動を伝えたい。それではいきましょう、まずですね!(鼻息)

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おくち周りのはまぐり模様が鼻筋にかけてびみょうにアシンメトリーなとこ! 向かって左側に毛色のはみ出し、逆に上部の白抜けがあるんですが、そんなところもしっかり再現されていて「おぉ…」となりました。

次に、お耳。この猫は密室生まれの修羅場育ちで、同性の猫とは大体喧嘩して生きてきました。そのせいか全身古傷だらけ。お耳のエッジも随分とギザギザしています。思えばこのお耳、この猫が私宅に至るまで生き延びた勲章みたいなものなのだなあ、と。改めて絵に特徴として描かれているのを見て「立派な個性」と再確認する気持ちになり、嬉しくなりました。

そして、なんといっても、表情です。年の割にちょっと精神的に未熟なところがあり、生来の我の強さと相まって、なんとも生意気そうな面構え。「顔立ちはオッサンなのに、表情が幼い」と人からよく言われる、宅の猫の基本的な「顔」。この絵はそこの表現がリアルなんです。

(――ここまでくると、本当にニッチすぎて、飼い主以外には絶対に刺さらないポイントだとは思います)

製作過程

霧生さんがご自身のインスタグラムで今回の制作過程をアップしているので、引用してご紹介しますね。

①すでにこの下絵の時点で、大体似ている件。

②絵を描けない民からすると、下地の色を置くという概念と色の選定が、既に神の領域なのですが、この気持ち伝わります?

③この流れ、昔「やさしいデッサン」みたいなテキストで見たことありますよ。3ステップ目でいきなり完成に近づくアレ。もう魔法かと思う。

④毛をね、一本一本書くってどういうことなの。毛ですよ。エクセルでいうところの0.5ptくらいの太さですよ…?

⑤耳毛、頬毛、そして頭わきや瞳にハイライトが入ることによって、一気に命を吹きこまれた感。ブラッシュアップってこういうことなのですね。

⑥仕上げに、額縁サイドに文様も入りました。事前に、私の自室の基本色とかテイストとか、さりげなく聞かれたのはこのためだったの…!(恐ろしい子/白目)

まとめ

猫とはいえ、"家族の肖像画を画家に依頼"だなんて。フレーズにしてみればまるで、ステレオタイプなおフランスのお貴族様の娯楽みたいですね。「なにそれおいしいの?(現代ならべつに写真でよくない?)」と、以前の私なら、そう思ったことでしょう。

しかし、実際に作品を手にした瞬間、大好きなものが、自分だけの美しい絵という作品になる相乗効果、想像を上まわる感動にびっくりしました。

デジタルな写真でイージーに姿を残せる現代ゆえに、写真じゃない肉筆が写し取る肖像画は存在意義を増しているのではないでしょうか。

ペット肖像画、すごい。(意訳:「めっちゃ嬉しい」)

  霧生だいやさんのHPはコチラ 



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