詩 完璧な世界

はじまりは完璧だった

この世界は完璧すぎた

全ては無だった

完璧なものに

はじまりや

終りが

あるはずがなかった

そこで神様は考えた

全てが完璧すぎるから

全てをバラバラにして

全てを一から始めよう

そうすれば

たくさんの

はじまりと

終りに出会えるだろう

私が求めるものは

完璧さではなく

たくさんの移ろいと美しさだ

そこにこそ

私の求める世界がある

あなたが足りないと思うのは

当然だ

私がそうしたのだから

あなたは

たくさん訪れる移ろいの中で

たくさんの美しさを見るだろう

たとえ

あなたが美しく感じなくても

桜は咲くし、夕日は輝く

彼らは自分が美しいとは

感じていないけれど

私はそこに美しさを感じるのだ

あなたの紡いだ物語は

あなただけのもの

あなただけの美しい物語

それを私に語ることが

あなたの生きた証なのだ

もう泣かなくていい

私に委ねていい

苦しくなったら

狭い部屋から飛び出して

青空を見上げてごらん

私があなたを温めてあげる

胸が痛くなったら

大きく深呼吸してごらん

その空気の中の私が

あなたの中で

あなたの胸をなでてあげよう

あなたの紡ぐ物語を

私はいつも読んでいる

私はあなたの愛読者なのだよ

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