詩 手を伸ばす。

手を伸ばす。
伸ばした手は空をきる。

何もない所に手を伸ばしたって、
何もとれない。

本当だろうか。

手を伸ばす。
伸ばした手は闇をつかむ。

つかんだ闇で、
何をにぎっているのだろう。

伸ばした手は、
かつては、その先に手があって、
僕の手を握り返してくれた。

その手の温もりに、
その手の柔らさに、
その手のやさしさに、

僕はとても安心していた。

手を伸ばす。
伸ばした手は空をきる。

それでも伸ばした手の先に
かつて握った手があることを
その手が開いていることを
いつかはもう一度握れることを

でも、

何もない所に手を伸ばしたって、
何もとれやしない。

手を伸ばす。
伸ばした手は闇をつかむ。

僕の手はどこにいったのか。
この闇は何を現すのか。
いつまで闇は続くのか。

つかんだ闇で、
何をにぎっているのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?