エッセイ 暑さの中で思うこと
ひと足早い夏が来た。
そうだ、こんな暑さだった。
でも、本格的になると、
肌を刺し痛いほどの陽ざしが来る。
まだ練習といったところだろうか。
でも、体には堪える。
この暑さで頭もボンヤリと、
考える気がしない。
とりあえず、文字をうつ。
文章にならない文字を打ってる。
頭に浮かぶ言葉を、
指を通して、
キーボードを伝い、
文字として画面に現れる。
特に何も考えない。
耳には音楽を流し、
指は思いつくままに、
動いてく。
流れる言葉、
追いかける言葉、
気持よく、
意味もなく、
流れて、
流れて。
そうだ、
こんなでいいんだ。
言葉に意味を求めなくていい。
感じるままに、
思うままに、
心のままに、
言葉を現し、
キーをたたく。
流れる音楽、
感じる風、
この気持ちのよい感覚が、
僕を包んでくれますように。
やわらかく、
そっと僕を包んで、
周りから守ってくれて、
優しく僕を包んで離さない。
頬を摺り寄せ、
にっこり微笑み、
優しい気持ちに
満足する。
ああ、満たされる。
ああ、胸が温まる。
温く、じんわりと広がり、
体じゅうにひろがって、
体をやわらかく覆う。
空を仰げば、
夜の部屋の中なのに、
まるで青空が覗けるように
さわかやな気持ちになる。
耳から聞こえる音楽は、
やさしく、やさしく、
体を流れて、
波が絶え間なく僕を包む。
たくさんの
手に支えられて、
僕が倒れないように
支えてくれて、
僕は立っている。
僕一人の力なんかじゃなく、
目に見えないからこそ、
信じなければならないものが、
僕の目の前にあることを、
僕は見なければいけない。
なにを書いているのかも
忘れてしまい、
書いたことを
消してしまい、
何もなかったようにすることは
たやすいけれど。
これでいい。