旅立ちは雨の日に②

胸の真ん中から少し血が垂れている。
僕は確かに突き刺すつもりで振り下ろしたつもりだった。それでも何か時間が止まったのか流れが遅くなったのか包丁は少し肌を傷つけただけでその手前で止まっていた。こんな怪我なら校庭で擦り剥いたほうが血が出ていただろう。
何故止まったのだろう。
僕は確かに突き刺すつもりだった。

死ぬつもりだった
僕は自分を殺したかった。
もうどうしていいかわからなかった。

もうこの人生には飽き飽きするほど嫌気がさしている。
というより人生というより自分が嫌いだ。
そんな嫌いな自分ができたこの人生にも走馬灯があるのかなと思ったがどうやらなかったらしい。

なぜか僕はそれが悔しくて無理矢理にでも走馬灯に似たものを無理矢理でも思い出してから死のうと思った。

「また煙草が吸いたい。」
どうやら僕はニコチン中毒らしい。
仕方ないなと思い僕ら財布を握りコンビニへと向かった。

いつも買っているが20本もいらないと思ったのは初めてだ。まあこれから死ぬのに残ってようが残ってなかろうが関係ないのに。

まあある意味煙草に救われた命だ。
短いだろうが最後のその時まで煙草に寄り添ってやろう。
この短い時間ぐらい好きにしてやろう。

さてと走馬灯は思い出せるのかな。
てかそんないい走馬灯があれば死にたくなんてならないんだけどな。

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