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ベルリン移住での生活水準の話

ベルリン生活も3周年を迎えて4年目に突入した。
海外移住前に心配だったことの一つに”生活水準”があったのでそれについて忘れる前に書いておこうと思う。

海外転職・海外移住を選ばない理由として生活水準を耳にすることがある。私自身、事前に調べたとはいえ移住後に生活水準は下がることも覚悟していた。(*1) が、実際はそうでもなくむしろ向上した。「こんなに払うのか」と「こんなに払わないのか」の合計で結局は思っていたよりもお金が手元に残った。


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ここでいう生活水準という言葉には2つ趣旨があって、一つは移住先での収入と支出のバランスがどういった具合になるのか。もう一つは対日本においての物価の差(要は自分が収入としてもらう通貨を日本円にするといくらになるのか:為替レートとも言えるかもしれない)である。



移住前後での収入と支出の具合

これは完全に人によって生活スタイルが違うと思う。
ここでは私の日本生活(東京,2018)とベルリン生活開始頃(2018-2019)で比べてみる。税金や健康保険料を差し引いた、自由に使える金額を対象にする。支出は日本円換算でざっくり減っているように見える。表にはないが収入に関しては移住後は日本円換算で昇給していた。


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家賃(支出↓=):シェアハウスに住んでいた頃は€500弱で事足りていた。一人暮らしの部屋を借りていた時は€860だった。価格幅は十分あり自分にあった額の物件には住める。東京の物件よりも広々しており個人的には価格は安く感じる。退去通知が3ヶ月前であったり敷金が3ヶ月分だったりすることはイレギュラーな出費になるが準備はできる。

水道電気ガス(=):水道とガス(heating cost)は家賃に含まれており、別で払うものは電気料金のみの物件に住んでいた。家賃と合算すると同額程度になる。

食費(↓=):すべて外食か宅配の生活を送っていた。ベルリンの外食や宅配は値が張る。ラーメン一杯€12(1500円)とかだ。しかもそんなに美味しくないこともザラで、値段と品質は比例しないことが多い。中華料理屋さんの炒飯€5(600円)が美味しく山盛りだったりもするので、そういったものは2食分に分けることもある。パン系酒系は安く物凄く美味しい。食事に関しては自分の中の最適解を探すことにはなる。重ねて書くが、値段と品質は比例しないことが多い。

交通(↓):ベルリンの電車は距離に関係なくほぼ一律だ。(*2) 東京に住んでいた頃は例えば八王子から秋葉原に行くのに片道500円ほどかかり往復で1000円かかったりするわけだけど、ベルリンでは片道一律€3ほどで、定期券を購入した場合は会社が全額負担してくれた。日本では一部負担だったので、それも出費を抑える要素だ。また出費をしない最大の理由は自転車の普及だと思う。会社へも自転車で通勤していた。ベルリン内は自転車用道路も多く平な地形なので思っているよりも快適にタダで移動できる。

趣味(↓):東京にいた頃はダンススクールに通っていた。ベルリンではUrbanSportsClubというスポーツ系の予約とチェックインを一括で行えるサービスを利用している。社割による破格で趣味継続の術を維持している。ダンスだけでなく、ジムやプール、ヨガ、ボルダリングなども月額€10程度ですべてが利用可能だ。

英語(↓):日本では英語学習に多少は毎月お金をかけていた。レアジョブだったりAEONだったり英文添削だったり時期により様々だがだいたい平均して毎月1万円程度だったと思う。移住後は仕事中に訳わからない英単語に頻繁に会うので都度調べるなどしている。

通信関連(↓):日本での内訳はWifiルーター(4000円)と携帯(8000円)だ。ベルリンではWifiルーター(€30)、携帯(€20)、VPN契約(€10×2) である。携帯料金はかなり安くなった。が、ドイツ全体として通信事業はあまり良くない。以前使っていたプロバイダーはWifiが突然落ちることがままあった。現在契約しているプロバイダーはそういうことは今の所ない。

交際費(=):私は出不精だ。そんなに外に出ないので出費に特に変わりはない。

奨学金返済(=):相変わらず返済をしている。適宜日本の銀行口座に送金しているが、一度に多く送金することもあるし毎月€250くらいを送金することもある。

以上、ざっくりと各項目について書いた。
食費に関しては日本にいた時にふと会話の中で食費月9万と言って驚かれたので大抵の人はもう少し抑えているのだろうと思う。他にも細々した出費はある。お医者さんにかかってもドイツは無料だが、ドイツにもNHKのような公共放送局があり、受信料を払うことになる。そういった違いはどっこいどっこいだと思っていて、上の項目には入れていない。

結局のところ、物理的な生活水準については下がっていないと感じている。
精神的な生活水準については90%ほどは満ち足りている。残りの10%は日本でできる事と食べれる物への欲求である。それについては次項に関係してくる。




対日本においての物価の差

海外で生活していくとはいえ、家族や友人などのコミュニティーは引き続き日本にもある。日本には美味しいお馴染みの食事もある。麺類は気にせずすすれる。そんな私は年に1回くらいは日本に遊びに帰りたいと思っており、「どの程度の苦労で貯めたお金」で「どの程度の日本豪遊ができるか」が精神面での生活水準に影響する。

考慮しておくことは収入通貨と日本円の為替レートだ。例えばベルリンで得た月収の20%を自由に日本で使えるお金とした場合、一体そのお金で日本のビッグマックが何個食べれるの?という話である。もし仮に私がフィリピンでフィリピン通貨で今と同等水準の暮らしを出来ていたとして、同じように月収の20%を使って日本のビッグマックが何個食べれるのだろう?

幸いなことにドイツはユーロなので思っていたよりも日本で不自由なく遊べる。また、ヨーロッパとはいえお隣の国ポーランドで仕事をすることになった場合は結構厳しかったかもしれない。逆にスイスで仕事ができるようになるともっと日本での豪遊チャンスがあるかもしれないと想像してニヤケを隠せない。



おわりに

海外移住による生活水準は一概に下がる上がると断言できるものでもないと思っている。各々が生活を調整し快適な海外生活を探るものかもしれないなと個人的には思っている。

日本から出たくない人も大勢いるなかで、もし海外移住に興味があるならその手助けをできる限りはしたいところです。




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(*1) 物価比較サイト:Expatistan, NUMBEO
(*2) 3駅以下(Short trip)かそれより遠い(AB区間)かさらに遠出(ABC区間)かの主に3種類。


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