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読書挫折日記 野村進・著『丹波哲郎 見事な人生』

丹波哲郎に関する本が出ていたので早速買って来た。丹波哲郎は、俳優だ。
2006年に亡くなっている。もう18年も前だ。今時、丹波哲郎なんて言っても、若い人は知らないだろう。

私は丹波哲郎が、けっこう、好きだった。でも、大好きってわけでもない。丹波哲郎は私からすると、人として、あまり見たことのないタイプだった。だから、私は興味があったのだと思う。

丹波哲郎の見た目の第一印象は、「とても立派」だ、になるのだと思う。多分、いい男だ。ハンサムな部類に入るのだろう。

ただ他の俳優と大きく違うところ、かなり「いい加減な人」というイメージがあるのだ。

丹波哲郎のことを、直接、知っているわけではないから、実際の行動がいい加減なのかは、私にはわからない。ただ、テレビなどを通じて聞こえてくる本人のハナシは、かなりいい加減で、テキトーなものばかりだったように思う。

丹波哲郎が語るハナシは、どのハナシも、笑い話かホラ話に聞こえるのだ。そして、これがもっとも特徴的なのだが、いい加減なことばかり喋っているのに本人はいたって「堂々としている」ことだ。

丹波哲郎の場合、イーカゲンより先に「堂々としている」ことがくる。くる、と言うより、堂々として在るのだ。「いい加減」は、その後からついてきたような気がする。

そして、何でも笑いとばしてしまって、それでなぜか納得させられてしまう、そういう珍しい人、という受け止め方を私はしていた。

私が丹波哲郎を知ったのは、まずはテレビだった。『キイハンター』、『アイフル大作戦』『バーディー大作戦』『Gメン75』のGメンシリーズなどの、土曜日の午後9時の男という認識だ。その次が、時代劇やら大作映画の中で大物役で出てくる人という認識だ。

後半生は、自ら「霊界の伝道師」と称して、死後の世界について語ったり、『大霊界』なんていう映画を作っている。霊界に関するハナシは、本当なのかホラなのか受け止めづらかったし、本人も真面目なのかそうでないのかも、見ていてよくわからなかった。おおらかなホラ吹きとでも言おうか。だから、堂々とホラを吹く規格外の人というイメージだ。

しかも、『大霊界』を平気で映画化までしてしまう。個人の趣味では収まらない規模だ。だから、大規模な大きな変わり者、というイメージもある。


本書は、そういう丹波哲郎の実像に迫った評伝らしかった。丹波哲郎を語る時、多くの人は、「霊界の伝道師」の部分は笑ってすませることが多い。しかし本書は、丹波の「霊界」にまつわる部分にも踏み込んで書いているようだ。

著者は、1956年東京生まれで、大宅壮一賞なんかをとったことのあるノンフィクションライターだ。ということで、大いに期待して読み始めたのだ。

でも200ページくらいで飽きてしまった。これは著者に責任があるというより、飽きやすい最近の私に原因がある気がする。

目次を見ると、それから先が「大霊界」絡みの章立てになっているのだが、残念ながら、私は飽きてしまったのだ。

申し訳ないし、情けない。

丹波哲郎という人物は抜群に面白いのだが、その丹波哲郎を描くには、文体が平易過ぎるのだ。なんて、ごめんなさい。

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