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映画日記 『ベイビー・ブローカー』二度目の殺人事件はどうなった? 一度見ただけではわからなかった
是枝裕和監督作品『ベイビー・ブローカー』を吉祥寺オデオンで観た。今日(6月24日)が公開初日。220くらいある席が、4分の1くらいジジババで埋まっていた。
以下、俗に言うネタバレになるので、観に行く予定の方はすいません。
たんたんと進むのは予想していたが、エンタメ映画でもなくて、社会派映画でもなく、私にはピンと来なかった。当然、刑事ドラマでもなく、ミステリーでもなかった。ではヒューマン・ドラマかというと、そこまでもなくて、ましてファンタジーでもない……というのが私の印象だ。
ファーストシーンは、土砂降りの雨の中、赤ちゃんポストに赤ん坊を連れてきた松岡茉優似の女性が、なぜか赤ちゃんポストの中に赤ん坊を入れずに、屋根があるものの吹きっさらしの地べたに赤ん坊を置き去りする。なんでポストの中に入れないのか? この出だしからして、私にはよくわからないのだった。
癖のない若めでやけに女子力の高い吉幾三と、年取った坂口健太郎と、松岡茉優が赤ん坊をめぐって移動するロードムーヴィー風映画だった。「万引き家族」と一緒で、疑似家族がテーマみたいな映画だったが、当然のこと樹木希林は出ていない。
男の二人組がベイビー・ブローカーなのだが、年齢の異なる二人の関係がつかめないのと、二人ともいい人過ぎるし、素人過ぎて、ベイビー・ブローカーというこの映画の設定そのものが成り立たないような気がして、よくわからなくなるのだった。それは以前の映画、『誰も知らない』のYOUが、いい人過ぎたのと似ている。
で、彼らを二人組の女刑事が車で尾行しているのだが、私は韓国ドラマも韓国映画もほとんど見たことがないのでよくわからないのだが、韓国の警察は、この映画で描かれたくらいにユルイものなのか? 覆面パトで張り込み中の女刑事に、着替えや差し入れを届ける旦那って、韓国ではありなのか? 等々、細かな疑問が多数わいてきて、映画に集中できない。
また、主人公の韓国で有名な役者さんは、どう見ても50歳は軽く超えている感じなのだが、10歳くらいの娘がいるという設定で、これはこれで結構な無理に見えた。
その主人公は、最後、知り合いの子供(最初、主人公の弟か息子なのではと疑ったのだが……)で、暴力団の手先になっている若い男を殺して、逃亡犯になってしまったみたいだった。これは私の勘違いなのか? 彼の犠牲のもとに、赤ん坊をめぐって生まれた新しい疑似家族みたいな絆が成り立っているのだろうか? そこまで主人公にさせてしまうことがこの映画では必要なことだったのか? そもそもこの若い男が最初に持ってきた血まみれのシャツは何だったのか? どうにもすっきりしない。
また、ラストに近い部分で、集合写真が貼ってある車を運転してるのは、誰なのか? すべてが終わった3年後、当事者たちがどこかで会おうという、その場所に向かっている車と思われたが、車の中からの視線は、彼らをとらえていなかったような気がするし、そもそもこの車を誰が運転していたのか、それが明かされない。どうにもすっきりとしない。
それらが気になって、もう一度見て確かめようと思ったのだが、お客さんの入りはガラガラのくせに、しっかりとした入れ替え制で、そのまま観ることは出来なかった。もう一度、お金を払うほどでもないと思って、帰ってきた。別に飽きずに最後まで見たけれど、感動はしなかった。煮え切らない気持ちが残った。もう一度見るべきだろうか……。なんだかな、だ。
実は先日、広瀬すずが主演の『流浪の月』という作品も、同じ映画館で観た。それも残念な映画だった。広瀬すずの熱演も、最後のオチが全部台無しにしていた。松坂桃李が演じるもう一人の主人公が、カルマン症候群という病気で、性的な不能者だったというのは、いくらなんでも違うだろうと思うのだが、もしかして、原作がそうだったのかもしれないと、今、これを書きながら思った。なんだかな、だ。
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