忙しいのに人が増えない、と思ったときにするべきこと
こんにちは。はこにわガジェットです。
当マガジン「マネジメントハッカー」では主にマネージャーやリーダーの方を対象に仕事のマネジメントに関わるノウハウやTIPS等をお伝えしていきます。
今回のテーマはこちら。
自分のチームは仕事が多くて忙しいのに、人が増えない。
これはよくあるお悩みではないでしょうか。
こんな時、どうすればよいか。
結論から申し上げます。
不要な仕事を削って、成果の上がる仕事に注力すれば勝手に人が増える。
いや、そんな簡単にできないよ、と思われた方。
確かに簡単ではないでしょう。
ただ、これはシンプルな真理なのです。
これを実現する具体的な方法をご説明します。
会社における人員配置の考え方
まずそもそも、あなたの上司もしくはさらにその上でチームや部門間の人数の配置を決定する権限のある人の立場になって想像してください。会社の社員はそんな簡単には増やせないわけですから、どの部門にも潤沢に人がいる状況にはできません。そうなるとどこに人を多く配置しますか?
答えは、「会社にとって重要で成果が上がる部門」です。
単に仕事が忙しい部門に人を割くわけではないのです。
なぜなら、忙しい原因は単に仕事の効率が悪いだけかもしれませんし、上司に対する忙しいアピールの激しい人のところにばかり人を配置するわけにはいかないのです。
自分のチームの重要度を高める方法
では、どうすれば自分のチームが「会社にとって重要で成果が上がる部門」になれるのでしょうか?
ここにはちょっとコツがあります。
実は、会社というのは成果が上がってから人を補充するのではないのです。戦略的に注力するビジネス領域を決定し、そこが重要だ、伸びると判断して先行して人を投入するのです。
つまり、あなたのチームの成果が現在は高くない、もしくは重要な仕事を与えられていないからと言って「会社にとって重要で成果が上がる部門」になれないわけではありません。
重要なのはあなたのチームがこれから何を目標に行動するか、なのです。
マネージャーが設定すべきチームの目標
あなたの上司には、解決しなければならない重要な課題というのがいくつかあります。通常はその課題をあなたの上司が各部門・チームに振り分けて目標設定をするわけです。しかし、すべての課題について上司も明確に解決の道筋を描けているわけではありません。
特に中長期的な課題や、これまでと大きくやり方を変えなければいけない課題については、上司であっても手をこまねいて部下に指示できていないことが往々にしてあるのです。
これこそが、マネージャーとしてあなたが自分のチームの目標に設定して取り組むべき課題です。上司にとって重要度の高い課題を目標設定することで、あなたのチームは「会社にとって重要で成果が上がる部門」となり、そこには上司も増員を検討するのです。
この順番を逆にしてしまい、上司に「人が足りない。人を増やしてくれ」ということばかり言っているのはマネージャーとして戦略を誤っています。人を投入するに値する仕事があってはじめて、増員が検討されるのです。
人が足りないのにどうやって新しい課題に取り組むか
ここまで読んで、「能書きはわかったよ。でもそもそも人が足りないのに新しい課題になんて取り組めないよ」と思われた方も多いかもしれません。
確かにその通りです。
私が担当したチームでも、担当者はそれぞれの仕事で忙しい状況でした。
ただ、その仕事は本当に必要な仕事ばかりでしょうか?
こんな仕事がありませんか。
・以前から行っているので慣習として続いている報告資料作成
・参加しているほとんどの人にとってメリットがない会議
・非効率なのはわかっていてもやり方を変えない作業
マネージャーとして重要なのは、チームメンバーが一生懸命行う業務を、会社に必要とされる方向へベクトルを合わせていくことです。
そのためには、各業務の棚卸が有効です。
目標設定を通じた業務の棚卸
私はチームの業務の棚卸を、目標設定のプロセスと合わせて実施しています。いつも、こんなシートを作成します。
このシートを作成する上で重要なのは、2列目の目的です。
仕事には必ず目的があります。仕事は目的を達成するための手段であり、それ自体は絶対に目的になりません。
なぜなら、仕事というのは最終的にはお客様に対して付加価値を提供して対価を得るための手段であるからです。この関係は直接お客様と接する営業部門でなくても、コーポレート部門や開発部門でも同じです。
少し話がずれましたが、私が先ほど挙げたような「意味がなさそうだけどずっと続いている仕事」は、この「目的」を担当者に書かせると、だいたい書けません。
これは最悪の状態でして、以下の2パターンのどちらかに分類されます。
1.仕事として必要ないが、この仕事がなくなると担当者がやることがなくなるので惰性的に続けている。
2.本当は意味のある仕事だが、担当者が単なる作業としてこなしており、仕事の意味を理解していない。
どちらのケースでもマネージャーが介入して目的を明確化させる、もしくは仕事のやり方を変化させる、あるいはやめさせるなどの対応が必要です。
目標設定のシートには行動目標と成果目標がありますが、こちらは長くなるので別の機会にご紹介します。
この「目的」を使った業務の棚卸を行うことでマネジャーはチームの各業務の重要性をおおむね判断できます。
重要・緊急マトリックスでチームに余裕を作る
ここまでで、マネージャーとして重要な仕事とそうでない仕事がつかめてきているはずです。ここから、重要な仕事には注力し、そうでない仕事はできる限り減らしていきます。
この図はご存じの方も多いと思いますが、重要・緊急マトリックスです。
業務を「重要度」「緊急度」の2軸で4象限に分けて分類していく手法です。
自分のチームの業務をこのマトリックスに分類していきます。
特に重要なのは、第2領域と第3領域です。
第2領域には主に人材育成や中長期の戦略的な課題が入ってきます。「本当はやるべきなんだけど、今すぐに着手できない」というものがここに来ます。
一方、第3領域は「とりあえずやるしかない」という仕事が多くなります。上司から言われた必要性のわからない資料作成や、どう見ても売上につながると思えないがお付き合いで仕方なく続ける顧客対応等。
ここまでくればお気づきだと思いますが、マネージャーの仕事はいかに第3領域の仕事を減らして、第2領域の仕事を増やすか、なのです。
順番的には、第3領域を減らす → 空いた時間で第2領域に取り組む、です。
第3領域を減らす
まず第3領域の重要度が低い仕事を減らさなければいけません。
実はこれが口で言うほど簡単ではありません。
従来の仕事のやり方を変える、もしくはやってきたことをやめるというのは、組織が大きくなればなるほど抵抗勢力が出てくるものです。その抵抗勢力は、業務を担当しているメンバーはもちろん、あなたの上司や、場合によっては役員という場合もあるかもしれません。今のままにしておいた方が無難だね、という結論にすぐに収束しそうになります。
しかし、ここでマネージャーが前例踏襲をしていてはチームは変わりません。メンバーはマネージャーの本気度をいつも見ているのです。
自分より上席の相手であっても粘り強く交渉し、不要な仕事は止めていくことをマネージャーが率先していけば、メンバーにもその意図が伝わってきます。
第2領域に取り組む
ここまでくれば、第3領域の仕事を減らして空いた時間を使って、第2領域の課題に取り組むだけです。
この第2領域に計画的に取り組めるマネージャーは多くありません。
そのため、ここに取り組むことをチームの目標に設定し、上司と目線を合わせて課題解決に取り組んでいくことで、あなたのチームは「会社にとって重要で成果が上がる部門」になっていき、結果的に増員されるのです。
これが、私が冒頭で申し上げた
不要な仕事を削って、成果の上がる仕事に注力すれば勝手に人が増える。
というプロセスです。
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