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図書館に行ってきた 16

熱帯 森見登美彦
物語の中に入り込んだ状態、その物語の中の人が更に語る物語、繰り返される同じシーンの数々によって、主人公の現在地を見失う。「熱帯」という小説の中にいるのか外にいるのか、物語の中の現実と妄想が私のいる現実にまで忍び寄る感覚。森見登美彦さんは境目を限りなくあやふやにする天才だと思う。

羊と鋼の森 宮下奈都
情景を何とか言葉で表現しようと日頃からされているのだろうな、と思う文章だった。感覚を言葉にする戸村。比喩を駆使して戸村に説明する柳。ある意味こんなにもわかりやすく親切な小説はないかもしれない。

偉大なる、しゅららぼん 万城目学
映画は観たことがないけど、濱田岳さんはピッタリ。万城目学さんワールドで、相変わらず面白かった。ファンタジーだけど、しっかりと歴史や地理の下調べをされてるんだろうな。土台がしっかりしてると物語の広がりがフワフワしない。

狂う潮 佐伯泰英
酔いどれ小藤次の23巻。
来島水軍流の遣い手の小藤次。「村上海賊の娘」に出てくる来島村上家と関わりがあったのかな。剣術に似たところはなかったけど。
佐伯泰英さんの描く主人公の息子は良い子過ぎるな。

推理大戦 似鳥鶏
推理する人に圧倒的な能力があると何だかワクワクしてしまう。そんな人達が集まって推理合戦が繰り広げられる。推理小説のタブー「ノックスの十戒」をことごとく行っていくのがまた清々しい。
ボグダンが井上真偽さんの「その可能性はすでに考えた」と「恋と禁忌の述語論理」を読んでいると書いてあって、私も!と喜んでしまった。

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