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歯ブラシの動かし方

先日、夫に「機嫌悪い?」と聞かれた。理由を聞くと「セカセカしてるから。」と言う。
どうやら私は動きが早い時は機嫌が悪いらしい。夫は「歯ブラシの動かし方でわかる。」という。

言われてみれば最近、しょっちゅう頭の中で「えっと、次は〜。」と考えていた。する事がなくなってぼんやりしていると「えっと、次は〜。」が出てくる。
頭の中がざわざわして、眉間にシワができて、一点を見つめて「えっと、次は〜。」と考えていた。
いつのまにか動きが早くなってイライラしてるように見えたのかもしれない。


私は今、佐伯泰英さんの「酔いどれ小藤次」シリーズを夢中で読んでいる。わかりやすく端的な表現の文章を、頭の中で映像化して読み進めていく。勧善懲悪で、読後感がスッキリしていてやめられない。
読書の後はテレビを見たり、夫と会話をしたりして過ごす。そんな頭の中が騒がしい日々を1週間以上続けているとどうも私の動きはセカセカしてくるようだ。


小春日和の朝に老犬と庭で日向ぼっこをした。椅子に座って軽くストレッチをすると、背中が重く肩甲骨辺りが凝っているのがわかった。もしかすると読書中ずっと猫背だったのかもしれない。
両手を広げて大きく深呼吸をし、暖かい光に向かって目を閉じていると、心に温かいものがじんわりと広がってきた。すると頭の中の「えっと、次は〜。」が「ま、いっか〜。」に変わっていった。

私は、ぼんやりしていてふと我に返った時、意識する場所が頭だとセカセカし、胸だとのんびりしていることがわかった。
セカセカはいつかイライラに変わり、ひとりの時間が欲しくなる。以前よくこのループにハマっていた。ここしばらくはのんびりすることができていたので忘れてしまっていたけれど、夫の「機嫌悪い?」のひと言で気づく事ができ、元に戻るコツもわかった。

歯ブラシの動かし方で気づく夫はすごい。そしてありがとう。

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