点字の「下がり数字」(その1)(点字のはなし(16))

皆さん、点字の「下がり」という概念について、おわかりになりましたか?
「下がりって何?」という方は、↓をどうぞ。

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教則本には載っていないけど、みんなやっている書き方。
今日ご紹介するのは…
「下がり数字」について、その1です。

注:ここでご紹介するのは、当センターのローカルルールですのでご注意ください。

そもそも、点字の数字は、「数符」という記号の後に、
「あいうえお・らりるれろ」のいずれかを書きます。

<点字の数符と数字一覧。凸面です。>

数符+あ=1 数符+い=2 数符+う=3 数符+る=4 数符+ら=5
数符+え=6 数符+れ=7 数符+り=8 数符+お=9 数符+ろ=0
数符+あろ=10  数符+あろろ=100
……という構成。
(並びは「あいうえおらりるれろ」ではないので注意!)

あいうえお・らりるれろ は、1、2、4、5の点を使いますから、
1段ずつ「下げて」書くことが可能です。
そこで登場するのが、「下がり数字」です。

よく使われるのは時刻の表現です。
例えば、「12時30分」を普通に点字で書くと、

<点字凸面、普通の12時30分。>

上の画像のようになります。
途中の1マスあけも含めて、合計12マス必要です。
ちょっと長いかなー…というわけで、「下がり数字」が登場します。

<点字凸面、下がり数字を使った12時30分。「30」で数符を使わないのがポイント。>

数符のあと、下がり数字で12と書き、その後、通常の位置に30を書きます。(30の前には数符を書きません。)
これを「12時30分という意味」とみなします。(そういうお約束。)
12マスが5マスに減りました。

私が点字の「下がり数字」を初めて見たのは、ラジオの番組表でした。
点字の教則本を見ても、載っていなくて途方にくれましたが、同僚に教えてもらって、納得。

恐らく、普通の書き方で時刻を書いたら、番組表が数倍に膨れ上がるからでしょう。どなたが考え出したのかわかりませんが、うまいやり方だなあ、と思います。

by くろうーろん

※こちらは過去にssブログ(2015-01-07 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。