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点字のメメメ

点字の教本にも書かれていない…それが「メメメ」だ!(すみません、何のことやら?ですよね)

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点字の書き方は「日本点字委員会(日点委)」が定めるのですが、
全てが定められているわけではありません。
ローカルルール的なものもあります。

例えば、点字の訂正の方法です。
訂正法は、「日本点字表記法」には掲載されていません。

でも、あはき(※)の国家試験では、三つの方法が提示されています。
(※あはき…「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう」の略。)
そのうちの一つが、「メ」を使う方法です。

私のまわりでは、「メ」を使った訂正の仕方は、
「メで消す」とか「メの字消し」と言っています。
正式名が無く、通称です。
正式なルールが無い書き方は、必然的に「正式な名称も無い」わけで…。

ここで言っている「メ」というのは、点字の6つの点全部を押すこと。
「まみむめも」の「め」です。

<点字の、まみむめも>

「め」は、単独ではもちろん文字として読まれますが、
いくつも連続して書くと、「文字を消す」事と同じ、とみなします。

点字で「せんメメメたー」と書いてあれば、「せんたー」と読むわけです。
墨字(普通文字)でも、文字の上から二本線が引いてあれば、その部分を読みませんよね。それと同じです。

<点字の「せんメメメたー」は、墨字の「せん[取消]たー」と同じ>

ここでは3文字だけメメメと書いていますが、間違えた部分を消すわけですから、何文字でも良いです。

ただ、あまりにも長いメメメの後に続きがあると、とても読みにくいです。
せんメメメメメメメメメメメメたー なんて書いてあったら、
指で読む人は、途中で嫌になってしまったり、「最初は何だっけ?」となってしまいますよね。

私は、「メの字は3マスくらい」を推奨しています。
なぜ3か?は、後で書きます。

メの字で気をつけなければならないことは、他にも…

(1)印刷物では使わない。
 「メ」を使う訂正は、あくまで手書きの時用です。

(2)手紙等では使わない。
 墨字(普通文字)も、線を引いて消したものは失礼にあたりますから、同じです。
 また、いわゆる公式な文書でも、使えません。

(3)「め」一文字だけでは、訂正にならない。
 墨字なら、線さえ引いてあれば文字数に関係なく無視して貰えると思いますが、点字はそうはいかず、読まれてしまいます。
 例えば「おかしい」と書こうとして、書き間違えて、修正のつもりで「おめかしい」と書いてしまったら…?
恐らく、伝わりません。「おめかし」なのか?と迷わせてしまうでしょう。

(4)「おめめ」とか「めめしい」等の言葉と間違えられないようにする。
 おもしろい → 「おめめもしろい」?
 あらあらしい → 「あらあらめめしい」?
 修正のつもりなのに、何だか変な文章に…。やはり3マス以上で「無意味なメの字の羅列=訂正」にしてしまうのを推奨します。

(5)長すぎも、なるべく避ける。
 既に上で述べたとおり。

…という感じでしょうか。

わざわざ「メメメ」と書かなくても、
ツメの先などでこすれば、点を消すことは可能です。
でも、誤って他の点も消してしまう可能性がありますし、
紙が劣化したり、せっかく書き直した点がつぶれやすい…等の理由もあり、お勧めしません。

あはきの国家試験で、「め」を使った訂正法が提示されているのは、
そのようなリスクを避けましょう、という意味なのかもしれません。

さて、次回は何めめめをご紹介しようめめめめかな。

by くろうーろん

※こちらは過去にssブログ(2014-12-15 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。