ボラプ

【感想】クイーンを知らなくても楽しめる「ボヘミアン・ラプソディー」

久しぶりに2回も観てしまった映画、「ボヘミアン・ラプソディー」

QUEENのリードシンガー、フレディ・マーキュリーの人生を伝説のライブ中心に描いた映画です。

12月に「ファンタスティック・ビースト2」を観たところ、姉に「この時期、ボヘミアン・ラプソディー観ないなんてありえない!!」て怒られたこともありましたが、そりゃあまあ怒られますわ、と見た後に納得しました。
久しぶりにこんないい映画観ました…

QUEENを知らない?
実は私もです。

それでも十分楽しめたし、寧ろ今からQUEENにはまりそうです。
「QUEENを知らない人にこそ見てほしい」なんてレビューもありますが、まさにその通り。
決してコアなファン向けの映画ではありません。

感想を一言でいうならば、構成が神。

ここまで来ると、シンガー監督が憎いレベルで好きです。

何が良いって、まず出だしです。
ライブ・エイドの当日から始まるわけですが、ここで重なるのがなんと「グレイテスト・ショーマン」。
この映画も作品中のクライマックスから始まる音楽が軸となる映画なんですが、思わず思い出してしまいました。
バーナードとフレディも作中最盛期から始まって、そしてすぐに始まる原石時代。
この出だしのスピード感が何とも言えない絶妙さで大好きです。

クライマックス→最初の原石時代→機会を掴んで一気に駆け上がる様→チーム内の不仲や事故発生→和解→クライマックス

本当に要素だけ抜き出したら「グレイテスト・ショーマン」と似た構成なんですが、「グレイテスト・ショーマン」で若干もやもやが残った不仲回収以降を綺麗にまとめたのが「ボヘミアン・ラプソディー」なんじゃないかと思います。
「グレイテスト・ショーマン」で弱かった不仲回収以降を「ボヘミアン・ラプソディー」では寧ろしっかり描ききり、クライマックスの感動を強調していました。

しっかり描いて、しかも「Who wants to live forever」をあのタイミングで流すのはもう本当に卑怯かよと思うレベル…。

語彙力が尽きちゃいます笑。
鑑賞後に調べてみたら、別映画のために作られた曲だったそうですが、あのタイミングで流れると物語に深みが出るし、本当にナイス・チョイスとしか言いようがありません。
「誰が永遠に生きたいと思う?」
あのシーンのために作られた曲と言われても納得出来ちゃいますよ。

「グレイテスト・ショーマン」は楽曲のオリジナリティ、迫力でも話題を持っていき、フレッシュさではあちらに軍配が挙がるものの、かつてのアーティストをテーマとした映画ならではの演出だったと思います。

そして「フレディ史上最大の悪役best2人」なんてまで言われているポールも光っていました。
調べたところ、演じていたアレン・リーチはかなりの苦労をしていたようです…。
悪役が頑張れば頑張るほどその作品が光るとか言われたりしますけど、彼の場合リアルに嫌われていて、しかも今は亡き人物を演じていたわけで…。
それでも憎みにくいあの人物を熱演したアレン・リーチは尊敬するしかないです。

また、ポールの裏切りは実際は紙媒体で行われていたそうですが、個人的にそこをテレビでのインタビューに変えた編集は大変好みでした。
フレディは「何をしてもいいが、顔は見せるな」と言ったわけですが、それでもテレビ越しに顔を見せたポール。
裏切りという言葉を使わずにあそこまでの裏切りをよくぞ表現したものだと。
フレディ本人が沈黙を保っていることもまた観客に解釈の余地を与える余白を提供したことも素晴らしい構成です。

そして、プロローグとリンクするライブ・エイドの映像。
このカメラ・ワークは作中随一で好みなのですが、誰か共感していただけるでしょうか!!

冒頭、あくまでカメラはフレディのみを追っており、他のメンバーは殆どカメラに収められていませんでした。
まるで、QUEEN解散直前のフレディの孤独さを強調するような写し方。
Good thoughts, Good words, Good deedsとは無縁な様子。
ライブ・エイドだなんて最初に一言もないのもそれを後押しします。

ところが、最後の入場のシーンはQUEENのメンバー全員が画面に映っていて、そこで流れる

「Your marjesty, QUEEN!!!」

皇太子夫妻も来ているのに笑。

みんなで入場する様子と合わせていることもほほえましく、冒頭と対になる形で非常に評価が高いです。
そして舞台はチャリティーコンサートの場。

正にGood thoughts, Good words, Good deedsを体現していて、お父さん、お母さん、妹さん良かったね。

映像美以外もしっかり追求されているのが、「ボヘミアン・ラプソディー」の良いところと私は言いたいですね。

友人「なんでボヘミアン・ラプソディというタイトルにしたのかが分からない」

QUEENに関しては素人の私なりの解釈ですが、ラプソディーという言葉は「 自由形式の器楽曲。多くは民族的または叙事的性格をもつ。狂詩曲。 」という意味があるそうです(ありがとうGoogle先生)。

様々なメロディが流れるボヘミアン・ラプソディー。
「人を殺してしまった」と悩む歌詞。
ペルシアやザンビアにルーツを持つこと、そして自身がゲイであることを悩むフレディ。
アップダウンが激しい物語。

正にラプソディーと表現するのが的確な内容だったと思います。

そして、QUEENの曲ボヘミアン・ラプソディー。
それらをかけたかったからこそ「ボヘミアン・ラプソディー」というタイトルになったのではないでしょうか。

2回目にして気づいたんですが、ライブ・エイドの音源はじめ各音楽は基本的にQUEENが実際に演奏したものなんですね。。。
ライブ・エイドの時なぞ、QUEEN大好きな友人がハンカチ出して号泣するレベルで迫力があるというか…。
そして、それに全く違和感を感じさせない俳優陣。

いや、ラミ・マレック、本当にそれあなたの声ではないんですか。

そんなレベルです。
Twitterでも比較画像が流れていましたが、めちゃくちゃ俳優と本人が近い…。
誰でも知っている!という俳優は少ないですが、再現率は恐ろしく高いです。
特にブライアン・メイに扮するジョン・ディーコン。
若ブライアン・メイ本人ではないんですか()。

STAR WARS story:ローグワンでは、最新技術を用いて蘇ったレイア姫とグランドモフ・ターキンが話題になりましたが、それを素でやるなんて、なんて恐ろしい映画…!!

構成のみならず、キャスティング大優勝ですね。

そして、忘れてはいけないのが猫です。猫様。

フレディは猫好きだったそうですが、十二分にそれが伝わるのがこの映画です。
猫好きの人ならば、猫の気ままなさまが良いというのは理解いただけると思います。
あいつら、人間ごときの言いなりにならないから、満足に抱かせてくれもしないくせに寒いときはこんにゃろ~~~~な存在ですが、本当に猫も十分にスクリーンの中で生きています。

猫ってそんなに鳴かないじゃないですか。
それだけで本当に映画の質を上げるなんて、だれも思わないじゃないか…

基本的に無言でこちらを眺めてくるだけ。
殆どのシーンでそれだけの役割しか果たしません。
それでもピアノの上を歩いたり、ライブ・エイド直前のフレディを見つめたり。

「もっとやれるだろって?みんな批評家だな」

だからいいんだよ!!ダアンッ!!
あの無言のかわいらしさがたまりません。

今までハムナプトラ1が猫が生きていた映画だと思っていましたが、認めましょう。
「ボヘミアン・ラプソディー」こそが1番の猫映画です。

頑張っても文章ではあの良さが表現できません。

ここまで読んで、まだ「ボヘミアン・ラプソディー」を観ていないそこのあなた。
今すぐ映画館へ走りましょう。
この映画は映画館で観るべき映画だと私は断言します。
後悔することはありません。

※ハコは映画業界関係者ではありません。

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