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自家製発酵食品の注意点 -発酵の基本知識-(56)

発酵食品を自宅で作る際には、いくつかの注意が必要となります。


味噌

  • 管理
    味噌は発酵・熟成の間に表面にカビが生えやすいので、保管場所には注意が必要です。
    雑菌が多く浮遊する場所や、玄関、湿気の多い押入れや浴室付近などは避け、直射日光の当たらない風通しのよい場所で保管しましょう。
    梅雨明けの7月の下旬から8月のお盆前位前に一度天地返しをすることで、酵母の活性化が促され、熟成が早まり、発酵ムラを防ぎます。

  • 製造時
    潰した大豆に塩切り麹を混ぜ込み、ボール状にまとめた後、容器に詰めますがその際に空気が入らないように十分に空気を抜きながら詰め込みましょう。
    この時に空気が入り、隙間ができるとそこからカビが生えたり、産膜酵母の発生原因になります。産膜酵母は食べても害はありませんが、味噌の風味を落とすのでなるべく発生させないためにも、仕込みの際はしっかりと空気を抜きながら詰めていくようにしましょう。


甘酒

  • 管理
    乳酸菌や他の菌のようにバリア機能がなく、エサになりやすいために他の菌との混在にならないように注意が必要です。
    納豆を混ぜたスプーンを良く洗わずに使用するなど、衛生面では特に注意が必要です。
    保存期間は冷蔵で約2週間が目安で、それ以上保管する場合は火入れ処理を行うか、冷凍保存するようにしましょう。発酵が進みすぎてしまうと乳酸発酵による乳酸が生成され、やがて酸味がおびて味の劣化がおきます。

  • 製造時
    温度管理が重要なため、発酵中の温度を55℃から60℃の間を維持するようにしましょう。
    60℃を超え、それ以上温度があがると麹菌の生成する酵素が失活し、十分な分解が行われない可能性があります。酵素活性が正常に行われないと、糖化が不十分になり、甘くならないばかりか、長時間の発酵で乳酸が生成される可能性があります。


塩麹

  • 管理
    仕込んでから十分な糖化発酵が行われ、その後完成するまで一週間から十日ほど必要とします。その間、糖化発酵を促すために一日一回はかき混ぜましょう。味もまろやかになり、甘みとうま味が増してきます。
    保管は常温で管理できます。冷蔵庫保存であれば糖化がゆっくり進むため十分な熟成が行われた後であれば、品質は長持ちしますので冷蔵庫管理もお勧めです。
    完成後約6か月内に消費をするようにしましょう。

  • 製造時
    塩分濃度は12%~15%の間にするようにしましょう。
    塩分が12%を下回っても腐敗の原因になりますし、15%以上になると麹菌の生成する酵素が失活し、酵素活性が不十分となり、うま味や甘みが十分に生成されません。


ぬか漬け

  • 管理
    一日一回から二回は撹拌し、上下の菌を入れ替えるようにしましょう。
    最下部の酪酸菌と最部の産膜酵母を撹拌時に入れ替えることで菌の共生バランスを保つことができます。
    水分が多くなってきたときは、乾物を入れるなどして水分を素材に吸収させるようにすると、ぬか床の栄養が素材に移り、乾物のうまみも床に移るので昆布や干ししいたけなどを入れるようにしましょう。

  • 製造時
    炒りぬか、生ぬかのどちらを使用してもかまいませんが、生ぬかのほうが栄養面で軍配があがりますので、無農薬などで新鮮な米ぬかが手に入る場合は生ぬかを使用するようにしましょう。ぬかは新鮮なものを使用するのが基本です。

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