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AIのインタフェースは自然文になるか?いや、「一問一答」に向かうのでは

・「ポケモンカード」

もうずいぶん前のことになりますが、雑貨も扱っている書店で、小学校高学年くらいの男の子を見ました。店員に向かって
「ポケモンカード」
とだけ言うと、じっと立っています。店員は言葉の続きを待っていましたが、小学生が黙っているので、カードを出して見せていました。

どうして単語だけで会話するようになったのか? と考えて、ありそうだと思ったのが、親がせっかちだった場合。
たとえば、
「パン食べる? ご飯食べる? パンね。塗るのはバター? ジャム? バター塗っとくわ。飲み物はコーヒーでいい? 牛乳入れる?」
親の質問が先で、子供が単語で答えるのが普通になってたら、そういう習慣がついてもおかしくないなあと思った次第です。

もし、質問するのがAIだったらどうでしょうか。

・伝えるだけなら一問一答で問題ない

私たちは、高度な内容を伝えるのに、高度な文章構成が必要だと考えがちです。しかし質問さえ適切なら、一問一答の積み重ねで相当に高度なところまでつたえられます。

たとえばAIで文書作成をするとき、どんな文書を作るかを決めてAIに伝えますね。一問一答式ならどうなるでしょう?

・この文書の目的は何でしょうか? 
 1契約 2交渉 3挨拶 4断り 5その他」…3

・文書の送り先は誰ですか
 1上司 2取引先 3親戚 4友達 5その他」…2

のように分岐させていけば、AIは誤解の余地なく、文書の目的を認識できるでしょう。不明点があるなら、そこで新しい選択肢を用意して人間に確認すればいいだけです。

人間からの返答は単語だけなので、自然文にあるような二義性も起こりえません。文書作成など目的のある用途なら、自然文を入力するよりずっと楽。

人間は、頭の中がまとまっていなくても、分かりやすい構成を考えなくても、AIの質問に答えるだけで分かりやすい文が出来上がってしまう。
頭の中でやるはずの作業を、AIに取り出して行うようなものです。

・人間の思考は衰えるか

AIの作成は自然文を理解して自然文で返す方向に進んでいます。
ただ、このままAIの性能が上がってゆくとしたら、インタフェースの形は自然文になるでしょうか?

おそらく、ならない。
AIが高性能になればなるほど、人間の脳にとって楽な形式に向かっていくのではないかとおもうのです。

生活の必要から開放されて、運動の必要がなくなったとき、人間は運動しなくなりました。エネルギーを節約することが動物としての本能だからです。

同じように、適切な質問を重ねて思考のお膳立てをしてくれるAIがあれば、わざわざ頭を使って自然文を構成する必要はなくなります。
やがては脳の負担が軽い一問一答に流れてゆくのではないかと思えてなりません。

そうなったとき、自分で文章を構成しなくてはならない人間同士の会話は、面倒なものと感じられるでしょう。
「ポケモンカード」
は、我々の未来の姿かもしれません。


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