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動ける体幹部を作るレッスン① ~肋骨の操作

私たちの身体は、普通に考える以上に、いろいろな動きができるポテンシャルを持っています。
甲野善紀先生の道場に通っている頃、正面の斬り(座って押し合う技)や柾目返し(ほぼ合気上げ)の稽古をしました。
普通に腕力で押し合っている間は、対抗することができます。しかし先生が「背中をおろす」「身体を割る」といった操作を加えた瞬間、力を受け止められなくなって簡単に転がされてしまいました。

もちろん先生は原理を説明してくださったのですが、どれも体内で起きていることなので、初心者には全く見えません。先生の動きを見ながら自分なりに考え、少しずつできることを増やしてゆきました。

そうして考えた身体の操作を、なるべくイメージしやすいように解説してみようと思います。かなり簡略化したものですが、身体の面白さを知っていただくには十分だと思います。

で、まずは体幹部。
肋骨から話を始めます。

・肋骨の操作

1.基礎知識

肋骨は肺を動かす骨格。また体幹の上半分の形を作る骨でもあります。
骨の形はアルファベットのCの形。背骨の継ぎ目から始まって前方斜め下に向かい、胸の前の胸骨という縦長の骨につながります。

「バケツの柄のように」と言われる肋骨の動き

肋骨と背骨との接点を軸にして、胸骨が上下に動きます。通常は、息を吸うとき肋骨と胸骨が上に持ち上がり、吐くときは下がります。

2.テスト

腕を動かす筋肉のうち、大胸筋、小胸筋、鎖骨下筋、前鋸筋などが、肋骨につながっています。
練習の後で可動域がどう変化するか確認するので、両腕をぐるぐる回して、感覚を覚えておいてください。

3.肋骨の動きを確認する

胸の真ん中、縦に長い骨が胸骨

胸の真ん中、胸骨に手を当てて、大きく深呼吸します。吸うとき、胸が大きく膨らむように意識すると、胸骨が大きく上下するはずです。

4.呼吸と動作を切り離す

肋骨の動きを呼吸と切り離してゆく段階です。
口と鼻から空気を出入りさせないようにしながら、呼吸をするときのように肋骨を動かします。
慣れてくると、空気と関係なく肋骨を動かせるようになってきます。

5.再テスト

もう一度、腕を大きく回してみましょう。肋骨が腕につれて動くように意識すると、先程より大きく回りませんか?
「肋骨は動く」という意識ができたことで、腕の可動域も広がっているのです。

このあたりまでは、比較的短時間にできます。
練習を繰り返していると、必要な筋肉だけを使う感覚がわかってくるので、軽く動かせるようにもなります。軽く早く動かせるようになるには、かなり時間がかかりますが…。

・使い方

腕を動かす筋肉が付着しているところなので、意図的に動かせるようになると、腕の動かしやすさが変わってきます。腕を上げる動作など、腕だけの筋肉で行うよりも、体幹で手伝うことで一体感を持って行うことができます。

バランサーとして使うこともできます。
後に説明する「背中を下ろす」と合わせて、体幹を前後に割って使う感覚ができるとより効果的。

肩こりの人では肋骨が固く動きにくい人が多いです。自分で動かせるようになると、肩こり対策としても有効ですよ。

次回は、肋骨を左右で分けて、片方だけ動かしてゆきます。

八起堂治療院ホームページ https://www.hakkidou.jp/


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