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お茶汲みOL2024

派遣のOL(オナニーレディ)として働いている。
何度も言うが、私はとにかく仕事が遅くて要領が悪い。さらに忘れっぽい。
派遣先の職場でも間抜けさを遺憾無く発揮し、同じ部署の皆さんにご迷惑をかけているが、「新しい人探すのも面倒だし」くらいの消極的な理由によって首の皮一枚で繋がっている。
以前、契約社員として働いていた会社では「パパ活ババア」と「男性社員にしか挨拶しないブス」とのいざこざに巻き込まれてストレスフルな日々を過ごしていたが、今の職場は穏やかな人たちばかりで毎日楽しい。朝8:30に始まるラジオ体操も真面目に取り組んでいる。ところどころでゴルフの素振りの動きを入れたり、膝への負担を考慮して飛び跳ねずにじっとしていたり、おじさんたちがラジオ体操に独自のアレンジを加える様子を眺めるのもまた味わい深い。腕を大きく広げる動きの時に、手が高橋留美子みたいになってるおじさんもいて非常に愛らしい。

高橋留美子の手


大好きな職場だが、一つだけ解せないのはお茶汲みの習慣が未だに残っていることだ。
保守的な業界とはいえ、まさかこのご時世にジェンダー格差モロ出しのままでいるとは思わなかった。フルチンくらい無防備である。
派遣社員にこの仕事をさせるのは契約違反では?と、派遣会社に提示した条件を見直したところ、「希望する仕事内容」の「お茶出し」の項目にチェックがついていた。登録時に「今時こんな仕事あるわけないだろ」くらいの軽い気持ちでチェックを入れてしまったようだ。100%自分のせいだった。

事務担当の女性がお客様にペットボトルのお茶を出し、買ってきた人の代わりにお土産のお菓子を配る。
絶対にやりたくないというわけではないが、お茶もお菓子も欲しい人が必要な分だけ各自で持っていく方が効率いいのにと思う。しかし、「仕事をなくされたら困る」という女性社員からの声が根強いようだ。

先日、お歳暮でいただいた林檎を一個ずつ配っていたら、仲良い上司(♂)に「剥いてくれなきゃ食べらんない〜」と言われた。ハハハこやつめ甘えん坊さんかと思って「じゃああげません」などと笑ってたら、事務担当の先輩が飛んできて

「永田さん、果物は冷蔵庫で冷やしてから切って皆さんにお配りするんですよ!」

と言われて絶句した。2024年を生きるOLとしての正しい対処法は、「片手で握りつぶして生りんごジュースを作る」一択である。
こんな調子なので、もちろん女性の管理職など皆無だ。優秀な人には建前として「副長」「担当課長」などの謎の役職は与えられるものの、実質的な権限は何もない。
この会社の偉い人たち、何の疑いもなく与党を支持してそう(突然の偏見)。

所属している部署の人たちは大好きだし、とても尊敬しているが、派遣先の会社自体はあまり好きではない。
作業服の男たちに囲まれたい!という不純にも程がある動機で働き始めた派遣社員が言うことでもないが、専門職より雑務が得意な男性が事務担当として働いたり優秀な女性が管理職として仕切ったりできる会社になって欲しいと切に願う。


余談だが、部署内で飼っている魚に専務の下の名前をつけて勝手に呼んでいたら、本人にバレてしまった。専務がポツリと「イジメ…?」と呟いていた。さらに専務の秘書の方にもバレて「失礼過ぎる」と怒られ、その魚には別の名前がつけられたが、みんな相変わらず専務の名前で呼んで可愛がっている。
そんな職場である。


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