2.配属直後のギャップの苦しみ方:Fラン卒が業界最大手で最年少社長賞をもらうまでの成果と反省

数日前見たネット記事では、大学職員が「何もやることが無く、上司も暇そうなので辞めた」とか書いてあった。大学職員にどんな希望を見出して入社されたのかは定かではないが「何をいまさら」といった感じだし、恵まれた職場で、空いた時間を生かせなかったことを棚上げにしているな、と感じざるを得ない。

よく、配属されて数か月の新人が「思っていた仕事ではない/聞いていた話と違う」とか「もっと活躍できる場がある」とか言って、辞めていく例を耳にする。すべての人や職場に当てはまるわけではないが、大なり小なり、みんな感じていることだと思う。そういえば、新規系の仕事を多く担当していた私に、仲のいい優秀な最年少課長が同じことを言っていたこともあった。

まず、新入社員が望むような仕事がいきなりやってくるわけがない。あるとすれば、それは仕事ではなく「研修」や「会社からのプレゼント/パフォーマンス」だ。稀に、業界経験があったりセンスがあって一定程度できる新人もいるが、2,3年の経験でどうにかなるほど仕事は甘くない。入社して1,2年など、どんぐりの背比べだと思って気にしなくて良い。

私の配属先は、地方の極小箇所だった。男性の新入社員は15年ぶりだ、と言われた。もちろん、希望して配属されたわけが無く、私は失意のどん底の様な気分だった。それでも「1日でも早くここから抜け出したい」と頑張る事を誓った。だが、環境は想像以上に悪かった。具体的な、当時の職場への所感を記載したい。

・責任者とマネージャーの仲が悪く、言うことが真逆で判断に困る

・社員の士気が低く、基本的に愚痴で占められている

・現状を打破するアイディアが出てこない

・日中が忙しそうな割に夜は残業しにくく、飲み会が多い

・オフィスの用具がボロい

都内の大学~研修所と来て、急に昭和に逆戻ったような感じだ。

おまけに、配属2週間は、やることが無かった。

一日目は賃貸物件探しやら書類やらで終えたが、二日目以降は本当に放置されていた。歓迎会もしていただいたものの、基本的にみな各々で営業に行き、私は放置されていたのだ。比較的年が近い先輩社員がOJTの教育係に指名されて面倒を見てくれたが、基本的には自分の仕事で手一杯な様子だった。

何もしない日が2日続き、みんな忙しそうな中、私は文字通り「お荷物」だった。また、大企業である故に、うかつに一人営業には行かせてはもらえない。私の絶望は拍車がかかった。

する事の無い私は、営業商材を持って、売り方とか資料の見方を暇そうなタイミングの先輩社員に聞きに行ったが、今度は責任者に、邪魔するなという意味で諭された。今思えば、やる気は買うが、営業数値の邪魔でしかないことは言うまでもない。

何となく社員の行動を見ていて、整理が行き届いていない棚を発見し、中身を整理し始めた。資料は、関係先の紙資料。順番に並べ替えて取引先を覚えたり、古い資料を廃棄したり……これが私がやっと見つけた仕事だった。

これは比較的受け入れられやすい仕事だったし「●●の資料をとってくれ」とか「●●の資料が不足していたら発注してくれ」とか、指示がもらえるようになってきた。そして、「資料を整理してくれて、探しやすくなった」と言ってもらえるようになった。

死に物狂いで就活に臨み、憧れの会社に入った私にとっては本当につらかった。一方、同期の華々しい話を耳にし、先輩方と仕事に取り組んでいる様子や得た成果なんかも聞こえてきた。やるせない気持ちに拍車がかかった。

尚、この配属は後にわかるのだが「研修前から決まっていたこと」だったようだ。会社としては「辞めないやつ」を私に期待していたに違いない。新入社員においては、「辞めないこと」と「問題を起こさないこと」が最も価値がある。今にして思えば、配属先との組み合わせは理解ができる。

今の、飛び込み営業すらできない、資料整理が精いっぱいな自分を、まずはいち早く真っ向から受け入れ、自分で考えて、能動的に役に立つ事を考えることができれば、自ずと成果に繋がると信じるしかできなかった。責任を問われる辛さは無く、今すぐの破滅はしない。

少しづつ同行営業にも連れて行ってもらい始めた私は、夏には支店をあげた「中規模の仕事」に正に手足となって動き回って、ようやく「新規営業に一人で言っても良い」ことになった。

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